第2話

初めまして
5,036
2021/07/10 08:06
(なまえ)
あなた
……
私は、異世界のような少し現代よりも衰退したような村を、辺りを見回しながら歩く。
沢山の音が聞きたくて、普段はしまっている耳も生やして歩く。
私が元いた場所は、ここから遥か遠くの、非魔法使いの国。
その為、目に入る物全てが珍しい。




それから、時間も忘れる程に歩いていると、急に声がした。
一般人
お嬢さん!危ないよ!
(なまえ)
あなた
え…っ?!
後ろを向くと、馬車がとてつもないスピードでこちらへ向かってきていた。
???
危な……!!
私は怖くて、目を瞑ってしまった。






_________?
いつまで経っても衝撃が来ない。それどころか、何故か風に吹かれている。
疑問に思い、私は恐る恐る目を開ける。
(なまえ)
あなた
……っ?!
(なまえ)
あなた
急になんで空なのよ…!
私が見たのは、私がさっきまで歩いていた街の全体。
何もかもが小さく見える。
私は、空を飛んでいたのだ。
(なまえ)
あなた
え、この箒誰の…?!私のじゃない……!!
私が何故か乗っている魔法の箒は、私のものでは無い。かと言って、誰のものか分かる訳でもない。
私が戸惑っているのもいず知らず、箒は旋回しながら街へと降りていく。
それから数分で、箒はさっきまで私が歩いていた道周辺に降りた。
私は戸惑いながら、滞空して動かない箒からおりる。
(なまえ)
あなた
……誰のかしら
箒を見つめながら、首を傾げる。
(なまえ)
あなた
なんか…よく見たら桃の飾りついてる……
(なまえ)
あなた
あと…なんだろ、これ……火?
可愛らしい薄緑色の桃の飾りと共に付けられた、真っ赤な炎のストラップに目を移す。
箒や杖に必然的についているストラップは、自分の魔法属性を示していると言う。
ちなみに私の杖や箒についているのは、薔薇のストラップ。
この箒の持ち主は火属性か……。
(なまえ)
あなた
って火属性なんて無数に居るでしょ……!
頭を抱え、「どうしよう」と唸る。
すると、不意に後ろから声が聞こえる。
???
あ、居た!
え、何?!ってこの声さっき聞いたような……。
???
すみません、勝手に飛ばしちゃって……
あはは……と笑って、その赤茶髪の人は後頭部をかく。
(なまえ)
あなた
い、いえ…この箒、あなたのですか?
???
あ、はい!そうです!
そう言って、その人が箒を呼び付ける。
箒がその人の横に引き寄せられた時、後ろから人が何人か走って来た。
???
ちょ、じゃぱぱ!急に走るな!!
???
そうですよじゃぱぱさん!
金髪の男の人と、ピンク髪の女の人がそう言って、こっちに来る。
えっと……これは、どうすれば……。

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