あなたside

ゆあんさんとうりさんを捕まえた後、のあさん達も捕まえて最後の向日葵の所に走る。

久しぶりにこんなに動いて、少し楽しくなってきた。

帝国に居た時は部屋に監禁されてたから……。

こっちに来て良かったとつくづく思う。

急に詠唱が聞こえてきてハッとする。

いつの間にか足元には雷属性の魔法陣が展開されていた。

魔法陣の円状の縁に沿って、雷がバチバチと音を立てて私を取り囲んでくる。

もう一つ詠唱が聞こえてきてしまった。

一つならすぐに解除出来る……でも、

結合されてしまった。雷の周りを、炎が音を立てて囲み出す。

魔法を解除するには、その魔法に使われている魔力と同量の魔力をぶつける事で解除できる。

でも、最悪なことに詠唱された為、通常の魔力の二倍底上げされている。

追加で結合魔法なんて以ての外。

どうしようかと考えていると、二人がそそくさと逃げ出す。

そう言って、自分の杖をたっつんさんが描いた魔法陣のど真ん中に刺す。

そう言った瞬間、自分の体内から莫大な量の魔力が杖の先にある花に吸い込まれていく。


でも、私の魔力量には到底及ばない。

今現在解除している魔法を使った者を追跡して捕獲する。

錨草（イカリソウ）が森の奥へ猛スピードで伸びていく。

数分すると、たっつんさんとじゃぱぱさんの魔法は解除出来た。

二人を捕らえた手応えはあるものの、二人の姿は見えない。

一瞬で視界に映る景色が変わる。

二人の胴体に錨草が巻きついている。

バッグから精霊瓶を取り出す。

ニコッと微笑んで、精霊瓶を叩き割った。

森から帰ると、待機所で二年生が唸っていた。

散々言われてますね……。

待機所を眺めていると、なおきりさんが後ろから呼んできた。

シュル……っとパンジーを消す。

外した瞬間、なおきりさんが上機嫌に言った。

そう驚いて言うと、なおきりさんが｢はい！｣と嬉しそうに言った。

そして、なおきりさんが｢やりましたね！｣とスっと手を軽く上げた。

何故か分からないまま恐る恐る手を上げると、なおきりさんがハイタッチをしてきた。

今までそんな事したことは無く困惑気味ではあったが、少し嬉しかった。