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2019/03/13

第6話

第六話
 そんなことを考えていると、虹子が美琴に抱きついて頬ずりをしてきた。
虹子
虹子
そう言ってくれると思ったわ~みぃちゃ~ん!
 言って顔を離し、軽い口調で続ける。
虹子
虹子
さっそくだけど、うちの上司と軽い面接してくれる? じつはさっきジュース買いにいったとき、上司にみぃちゃんのこと話しといたのよねぇ~
朝弥
朝弥
虹子さんって、退魔師やめても詐欺師で食べていけそうですよね
虹子
虹子
やだぁも~、あっちゃんってば面白いこと言うんだからぁ~
 笑い飛ばした虹子は、指輪を嵌めていた右手を甲を上にして軽くかかげた。すると、指輪から光が立ちのぼり、そこから映像が現れる。
美琴
美琴
わ、なんか近未来的……!
 映画やアニメでしか見たことのない光景に、美琴の心が僅かに躍った。
 光に現れた映像には――サングラスをかけた五十代と見られる黒いスーツの男性が映っている。
虹子
虹子
このひとが、私達の上司の鬼ヶ崎さんよ~
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
おお、君がみぃちゃんか? おおきにやで。上司の鬼ヶ崎や
 どんな仕組みになっているのかはわからないが、映像からは声が響いてくる。
 が、見た目と口調が相まって、鬼ヶ崎はとても一般人には見えないのであった。
 美琴はおそるおそる、虹子と朝弥に尋ねる。
美琴
美琴
あの……この方は、堅気のひとではない……ですよね?
虹子
虹子
やだぁ、堅気なんて言葉どこで覚えてくるのよぉ~。ほんとに面白い子ね~
 言って、虹子は笑った。
朝弥
朝弥
見た目はあれだし名前もあれだけど、甘党な一面もあったりして、案外お茶目なひとだよ
 そう朝弥も説明をしてはくれたものの、堅気に関する否定は誰のくちからも出ない。
 そこには触れてはいけないのだと判断し、美琴は映像の向こうにいる鬼ヶ崎に頭をさげた。
美琴
美琴
えっと……あの、はい……。桃木美琴と申します……
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
新しい子ぉが入ってくれるんは、こっちとしてもえらい有難いわ。なんせ人数足らん仕事やさかい、ブラック企業みたいになっとってな
 さらりと言われ、美琴は思わず無言で虹子と朝弥を見た。しかし、ふたりは黙って美琴から目を逸らすばかりだった。
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
まぁ給料は出すんで、勘弁してや。人数増えて仕事の成果も上げたら、こっちもなんとか予算もぎ取るさかいに
美琴
美琴
予算?
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
一応、公務員みたいなもんやからな。裏で国から金もろとるんや
美琴
美琴
退魔師、公務員なんですか?
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
退魔師、公務員や
 答えて、彼は笑った。笑っても、ビジュアルが強烈なばかりにやはり一般人には見えなかった。
 姿勢を正して、鬼ヶ崎は真っ直ぐ美琴に顔を向ける。
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
ほな、ワシからも改めて確認とらしてもらうけど……。ほんまに、退魔師としてやってくれる気ぃあるんやな?
 美琴は、呼吸を整える。そうして、背筋を伸ばして返事をした。
美琴
美琴
……はい
 その後、僅かな沈黙が生まれる。それは、鬼ヶ崎が美琴を見定める時間のようでもあった。
 どれだけそうしていたのか、不意に鬼ヶ崎が頷いて、姿勢を崩す。
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
よっしゃ、わかった。おおきにやで。ちなみに、途中で【やっぱ退魔師あかんわ、しんどいわ】ってなってやめる場合は、退魔師やドゥンケルに関する記憶は全部こっちで消さしてもらうさかいに、そこだけは頼んどくわ
美琴
美琴
記憶を……?
鬼ヶ崎
鬼ヶ崎
一応、世間に伏せときたい仕事と情報やからな。世間にバレたら、なにが起こるかわからへん。混乱やストレスで皆のマイナスな感情が大きくなったらドゥンケルが増えるんは確実やし、そうなったら悪循環もええところや
朝弥
朝弥
いつもはそうやって、ドゥンケルに襲われた一般人の記憶も消しながら仕事をしてるんだよ、僕達
美琴
美琴
そうなんですか……