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2019/02/20

第3話

第三話
 朝弥の台詞を遮った虹子が、まるでオモチャでも取り出すような気軽さで、朝弥が持っているものと同じ種類の銃を取り出した。
美琴
美琴
と、特別……?
朝弥
朝弥
驚くなって言うほうが無茶だよね。ごめん……。でも、話せば長くなりそうなんだ
虹子
虹子
とりあえず、私達に会ったことは皆に内緒にしておいてもらえると、とっても助かるんだけど
 美琴を置いてきぼりにして、話がどんどん進んでいく。頭が思考を放棄してしまっている美琴には、もはやどうすればいいのかさえもわからない。

 それを察したのか、朝弥が少し困ったふうに微笑して、浅く首を傾けた。そうすることで、いつも落ち着いている彼が僅かに幼く見え、美琴はひそかに胸を高鳴らせる。
朝弥
朝弥
ひとまず……場所、変えようか?



***

 三人は、夜の公園へと場所を移した。
 自動販売機から戻ってきた虹子が、美琴に缶を差し出す。
虹子
虹子
はい、ジュースよ。みぃちゃん
美琴
美琴
あ、ありがとうございます。えっと、虹子さん……でしたっけ?
虹子
虹子
なんなら、虹子ちゃんって呼んでくれてもいいのよぉ~
美琴
美琴
ははは……
 先程済ませた簡単な自己紹介以降、何故か美琴は虹子から【みぃちゃん】と呼ばれていた。
 彼は朝弥にも缶を渡す。
虹子
虹子
はい、あっちゃんのぶん
朝弥
朝弥
ありがとうございます
 朝弥は虹子から【あっちゃん】と呼ばれているらしかった。
 美琴を中心にして三人はベンチに腰掛け、さっそく虹子が缶のプルタブを起こす。足を組み、缶のジュースを呷る彼の姿は、まるでおっさんであった。
虹子
虹子
さ~て、なにから説明しようかしら
 美琴を覗き込んで、虹子は訊く。美琴はあわてて、自身の疑問を頭にうかべた。
美琴
美琴
えと……あの、私が見た黒い影みたいなものは……
朝弥
朝弥
急にこんなことを言われても、戸惑うだろうけど……
 そこまで言ってから、朝弥はいくらか迷う素振りを見せて続ける。
朝弥
朝弥
あれは……人間のマイナスな感情が生み出した、怪物なんだよ
 冗談を言っているふうには見えなかった。その台詞をくちにしたのが朝弥でなければ、美琴は笑い飛ばしていたかもしれない。
美琴
美琴
……怪物……?
朝弥
朝弥
そう。僕達退魔師は、あれをドゥンケルと呼んでる
美琴
美琴
ま、待ってください。退魔師って……? 先輩は、その怪物を倒してましたけど、それは、その……退魔師っていうのと、関係があるんですか?
 馴染みのない言葉に美琴が戸惑えば、虹子は微笑んで問い掛ける。
虹子
虹子
みぃちゃん、ニュースとか見たりする?
美琴
美琴
ニュース、ですか……? そこまでしっかり見るわけじゃないですけど、一応は……
虹子
虹子
なら、今の日本で――ううん、日本だけじゃないわね。今や世界中で、毎日のようにひとが亡くなっているのは、わかるわよね?
美琴
美琴
……はい
虹子
虹子
さっきみぃちゃんも見た、あの真っ黒い怪物。あれはね、人間の中に入り込んで、そのひとの負の感情を増幅させるのよ
美琴
美琴
増幅……ですか?
虹子
虹子
そう。心の弱っているひとが、あの怪物に入られちゃうとね――
 彼はそこで僅かに言い淀み、足を組み変えて継いだ。
虹子
虹子
……最悪の場合、自殺しちゃうの