『ゴクッ…』
しのぶさんに限った事ではないが、触れたくない、聞きたくない話題が多すぎる。
私はしのぶさんの顔を見れず、渡された紙袋に視線を落とす。
突然しのぶさんから声が聞こえなくなったので、私は不思議に思い、ゆっくり顔を上げた。
(こ、怖いです…ニコニコしてますが、これは怒ってます…確実に、怒ってます…!)
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アオイさんから衣服を借りると、すぐさま袖に手を通す。
丈の長い袴を永らく着ていなかったからか、妙な違和感を感じた。
水柱様が居るという場所に来てみたはいいものの、そこに水柱様の姿は無かった。
(ま、間違えたのでしょうか…)
更に、そこは男ばかりの道場ときた。
玄関口の門を通り、それとなく庭の方へ目が行く。
そこには傷だらけ隊士が休んでいた。
ほんの少しの間、対面した私達の間で沈黙の時間が流れた。
私を見て、呆然とする稽古中の鬼殺隊士の方々に私は頭を勢いよく下げた。
明らかに反応がおかしい。
私を見る好奇心に満ちた目の中に、不安や心配の色が見える目がチラホラある。
(…な、何でしょう、嫌な予感がします。)
後方から身に覚えのある汚い高音が私の耳に飛び込んできた。
本能に身を任せて振り返ると、私を指さし、ガクガクと震える善逸さんが居た。
私の背を強く押し、屋敷の外へと促す善逸さん。
その影から炭治郎さんの姿を見つけた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。