第14話

竈門 炭治郎side
34,308
2019/08/24 12:50
嘴平 伊之助
コイツ、最終戦別で俺より先に着いてたんだぜ!1人で花見ながらぶつぶつうるせぇ!
あなた

い、言わないでください!つい口から漏れてしまうんですっ。

嘴平 伊之助
それよりも勝負だ!次は逃がさねぇ!
(伊之助より先に…?)


最終戦別、鬼狩りになる為に通らなければならない、狭き門。
藤襲山という山の中で、放された沢山の鬼がいる中で七日七晩を生き延びなければならない。
今期も俺と同じぐらいの多くの子どもが挑んだが、生き延びたのはたった数人だった。


(伊之助が1番じゃなかったのか…?)


けど、昨夜の刀を振る姿を思い出すと、納得出来る。
上手く身体の特徴や刀の性質を使い、一瞬で鬼を駆逐した。


俺は本能で分かった。

あなたさんは強い、と。
嘴平 伊之助
おい、紋次郎!
竈門 炭治郎
あなた

だ、大丈夫です、私が

嘴平 伊之助
駄目だ!テメェは逃げるかもしんねぇからな!
あなた

に、逃げるも何も、勝負なんて

俺がもっと驚いたのは…あなたさんだ。

艶やかな黒髪に白い肌。
優しさが滲むような奥二重の目と、桜のような唇が印象的だ。
瞳は少し茶色っぽくて、化粧をしているわけではないのに何処か大人っぽさが感じられる。
けど、笑うと一気に幼くなるのだ。

こんなに綺麗な人を見たのは、普段顔を合わせる人間以外で久しいかもしれない。


(きっと皆が黙り込んでしまうのは、)


俺も初めて見た時、あなたさんの顔を見て言葉が出なかった。


(本当に綺麗だからだ。)
あなた

…治郎さん!

(善逸が見たら、またうるさくあなたさんに求婚を迫るぞ。)
あなた

炭治郎さん!

本人の声でぼんやり考えていた意識から、現実に引き戻される。

けど、目の前には誰も居ない。
竈門 炭治郎
あなたさん!伊之助!
嘴平 伊之助
ここだ、惣一郎!
伊之助の声がしたので、走って行くと、火を消して、土鍋を前にするあなたさんが居た。


(しまった、放置してた!)
竈門 炭治郎
すみません、あなたさん!
あなたさんは振り返るとにっこり笑う。
あなた

いえ、大丈夫です!炭治郎さん、朝ごはん作って下さってたんですね。ちょうど良い頃合ですよ。

湯気にかかりながらも、また無邪気に笑う。

『かぐや姫』と呼ばれるのが充分なぐらい、誰かの心を揺すぶれる美しさがあった。
嘴平 伊之助
先に勝負だ!女!
竈門 炭治郎
彼女は月夜里 あなたさんだ!
嘴平 伊之助
勝負だ、九十九神!
竈門 炭治郎
駄目だ、先にご飯だ!それに勝手に神様にするな!

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