第68話

菓子を振る舞う
20,295
2019/09/28 21:47
竈門 炭治郎
ああ、ただいま!
我妻 善逸
ただいま、あなたちゃん!
あなた

今日は早かったんですね。

嘴平 伊之助
腹減った、飯にしようぜ。
我妻 善逸
さっき食べただろ、お前!
嘴平 伊之助
うるっせぇ、俺はまだ腹が減ってんだよ!おい、ツクツクボウシ!
あなた

つ、月夜里です…

嘴平 伊之助
どっちも一緒じゃねぇか!
我妻 善逸
いや、違うだろ。
伊之助さんは相変わらず私の名前を覚えてくれていないし、その様子も微塵も無いようだが、私はそれだけで充分だった。


(それでも、伊之助さんは私の中では未だ少し怖い人ではありますけど…)
あなた

そ、それで、な、何ですか???

嘴平 伊之助
何か甘いやつ、作れ!
竈門 炭治郎
伊之助、あなたさんはまだお手伝いの途中だし、出来上がるまで時間がかかるぞ?
嘴平 伊之助
いい!
我妻 善逸
いやいや、お前が良くてもあなたちゃんが迷惑だろ。それに、ここんとこ、毎日作らせてんじゃん。
嘴平 伊之助
うるせぇ、甘いやつが食いてぇんだ!
竈門 炭治郎
なら、次の任務の時にでも、町に一緒に買いに行こう。
嘴平 伊之助
嫌だね。俺はコイツが作ったやつが食いてぇ。
私に向かって指を指し、伊之助さんは炭治郎さんにそう言い切った。



私はそれが心底嬉しかった。

お前がいい、今はお前が必要だ、と言われた気分になって、心が自然と弾む。
我妻 善逸
だぁ、かぁ、らぁ…
あなた

いいですよ!

我妻 善逸
えぇ?!
あなた

お作りします。ちょうど材料が届きましたから。

竈門 炭治郎
良いのか?!あなたさん、疲れてるんじゃ…
あなた

いえ、私もこんなに天気の良い日は甘味を皆さんとお外で楽しみたいなぁ、なんて考えていたので。

私は胸の内から溢れ出る嬉しさを隠す事など出来ず、全て表情へと流れ出ているのが分かった。
あなた

少し待っていて下さい。出来たらお呼びしますから。

私は桶を抱え直すと、アオイさんの元へと戻る。


(アオイさんが洗って下さったのを干せば、一段落ですね…調理場を今、少しだけでもお借り出来ないか、聞いてみましょう。)
我妻 善逸
竈門 炭治郎
嘴平 伊之助
我妻 善逸
どうしよ、俺、あなたちゃんのお菓子も好きだけどさ、作るってなった時の表情が可愛いすぎるんだけど!ねぇ、無理すぎない?!
竈門 炭治郎
善逸、あなたさんの前でそれを言っちゃいけないぞ。
我妻 善逸
分かってるよ。あなたちゃん、直ぐに頭グルングルンになるから。
竈門 炭治郎
ならいいが…で、伊之助は何見てるんだ?
嘴平 伊之助
! べ、別にアイツの後とか見てねぇ!
我妻 善逸
やだ、伊之助、可愛い!
嘴平 伊之助
別にそんなんじゃねぇ!
竈門 炭治郎
それにしても、伊之助は本当にあなたさんも、あなたさんが作るお菓子が好きなんだな。
嘴平 伊之助
しつけぇぞ!アイツの菓子は美味ぇから食う!それだけだ!
我妻 善逸
理由になってんのか、それ………なってるか。
竈門 炭治郎
それにしても…蝶屋敷の患者が多くなった気がするのは、俺だけか…?

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