第137話

謝り癖がつく
12,635
2020/02/11 15:47


冨岡 義勇
そういえば、さっきの隊士は…
あなた

えっと、尾崎さんの事ですね!実は蝶屋敷に向かう途中、出会い頭にあってしまって…そのお相手が尾崎さんだったんです。

冨岡 義勇
そうだったのか。
あなた

はい!尾崎さんは凄く明るくて、笑顔が素敵で、頑張り屋さんで、とても気さくな方です!まるで犬さんのように表情に笑顔が溢れるんですよ!

冨岡 義勇
そうか。
あなた

はい!ぎぎぎぎ義勇、さんも、笑いたい時に沢山笑って下さい!私も、沢山笑いますから!///

冨岡 義勇
そんなに『義勇』とは呼びづらいか?
私は眉を少し下げて聞いてきた義勇さんに頭をブンブンと振って答えた。
あなた

い、いえ!なんと言いますか…さっきまでは何とも無かったのですが、これから呼ぶのだと自覚が出て来ると恥ずかしくなる、と言いますか…

冨岡 義勇
無理は、しなくていい…
あなた

ま、まさか!無理なんてしてません!私は呼びたいです!けど、私がこんなだから…


(ここまで男の人に免疫が無いとは…思ってもみませんでした…)


下の名前を呼ぶだけでも苦労しているのは、何も『義勇』さんだけではない。

『炭治郎』…も、そうだ。


何故か固定していた呼び名から進化しようとすると、顔が熱くなり、謎の恥ずかしさが湧き出てくる。

更に口はもごもごとしか動かなくなるし、
最初の一文字目で何度も躓く。
冨岡 義勇
別に強制するつもりは無いし、自分で無理せず呼べる時期になったらで良い。
あなた

あ……す、すみません…

(ぎ、義勇さんにまた気を使わせてしまいました…っ(汗)")
冨岡 義勇
謝るな。何も悪い事はしていないのに謝るのは良くない。癖がつくぞ。
あなた

ご、ごめんなさ…

冨岡 義勇
あなた

えっと、すみませ…

冨岡 義勇
……
あなた

わ、分かりました。

冨岡 義勇
…人が多すぎる。一度離れるぞ。
あなた

は、はい!

脳内で何度も迷って行き着いた答えは「分かりました。」の一択だった。

返答の言葉がすぐに「ごめんなさい」と「すみません」に絞られるとは、

気づいた途端に情けなくなるものだ。


(すぐに謝る癖…既に付いてしまっている気がします…)
あなた

はぁ…

冨岡 義勇
小さく息を吐くと、

『ドンッ』

と腰から下に大きなものがぶつかった衝撃が突如私を襲った。

ちょうど人混みから逃れた場所だったので、
勢いのついたものがぶつかった瞬間、私は尻もちをついた。


(きょ、今日はやたらとぶつかってしまいますね…ぼうっとしすぎでしょうか?)
いってぇ…

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