第140話

笑った顔
12,813
2020/02/17 17:00
冨岡 義勇
ああ。湯けむりがとても柔らかくて気持ち良かった。
あなた

ふふっ、伊之助さんも同じ事を言っていましたよ。

私はふと伊之助さんが湯けむりに興味を示して、興奮していたのを思い出す。


(新鮮な反応がとっても可愛らしかったですねぇ…ふふふっ。)
あなた

その町の子どもさんが少し似ているんです、太一さんという方に。悪戯っ子でよく町の大人に怒られていましたが、笑って吹っ飛ばして次の悪戯をしてしまうような方で…

冨岡 義勇
あなた

でも、とっても優しい男の子なのです。大将って言葉が似合うような、他所から来た私にも優しくしてくれる方で…凄く、懐かしいです。

冨岡 義勇
…寂しいか?
あなた

え?

義勇さんは行き交う人々を見つめたまま、私に尋ねた。

私はその質問に少しだけ笑って応える。
あなた

…寂しくない、と言えば、嘘になります。でも、今は皆さんが、ぎ、義勇さんがっ、居ますから!

冨岡 義勇
(クスッ)…そうか。
その瞬間、義勇さんはクスッと確かに笑った。


色白の肌に、深い海のような澄んだ目。

立った鼻筋に、キュッと結ばれた口元。

いつも何を考えているのか分からないような、すんっと澄ました表情は、



少しでも緩めばこんなにも…


(とっても…素敵な方なのです…)



人の胸を高鳴らせてしまうものなのか。



私の目は一気に開いて、胸がドキドキと激しく脈を打ち始めた。

口の端がほんの少しだけ上がった義勇さんは、嬉しそうに目を伏せた。
冨岡 義勇
あの町の話をする時、月夜里はいつもそんな顔をするんだろうな。
あなた

そ、そんな顔って…お、可笑しかったですかっ…??

冨岡 義勇
いや、楽しそうだ。凄く。
俺は、
義勇さんの手がゆっくりと伸びてくる。

『ピトッ』

私の右頬に手をぴたっと添えると、義勇さんはまっすぐ私を見つめたまま続けた。
冨岡 義勇
あなたが自然に顔がほころぶ姿をずっと見たいと思っていた。
あなた

わ、私、が…です、か?////

冨岡 義勇
ああ。炭治郎も胡蝶もきっとそうだと思うが、俺は
あなた

…っ、、////

冨岡 義勇
あなたの笑った顔が好きだ。
あなた

っ?!?!?!//////


(さ、サラッとこんな…殺し文句をっっ、さ、流石ぎ、義勇さんですっ、、顔色一つ変えな、、いでっ!、!////// し、しかも、い、いつの間にか名前呼びにな、ってます//////////)
冨岡 義勇
どうした、あなた。顔が急に熱く…
あなた

ぉぉおおおおおお構いなくっですっっ!!

冨岡 義勇
指先まで熱くなっている気がした。

でも、義勇さんの手を退かす事は出来なくて、両拳をギュッと強く握っていた。
おーおー、お熱いねぇ、お二人さん。
あなた

なっ、、

冨岡 義勇
熱い?
声がした方を振り返ると、引き戸を開け、暖簾を捲っていた1人の男が居た。

にっこり笑って続ける。
そうだよ。照れてんだよ、そこの綺麗な嬢ちゃんは。
冨岡 義勇
あなた

〜〜〜っ、////

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