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2人の話し声が聴覚の鋭い善逸さんにはしっかり聞こえていたらしく、勢いよく納戸を開け、恐ろしい鬼の形相で炭治郎さんを見ていた。
そして、一言。
『お前、何やってんの?』
善逸さんは私達を最初に居た炭治郎さん達の部屋に連れて来ると、すぐに部屋を出て行った。
振り返りざまに片手をヒラヒラと振って、ニコニコと笑っていた。
暫くして、廊下の奥から
『ドドドドドドッ』
と激しい足音と笑い声が混じったものが部屋に近づいて来た。
『バンッ!』
部屋に飛び込んで来たのは、案の定、伊之助さんだった。
少し驚いたのは伊之助さんの背に禰豆子さんが乗っていて、両手を上げて楽しそうに笑っている。
『ドギッ』
まだぎこちない呼び方が私の心臓を跳ねさせる。
頬がまた熱くなっていく。
炭治郎さんは私がちゃんと呼べたのを聞いて、凄く嬉しそうだった。
(これで本当にもっと仲良くなれたら良いなぁ…)
皆の話しているのを笑って見ていると、伊之助さんにおんぶされた禰豆子さんが今度は私の方に両手を向ける。
伊之助さんはしゃがみ、禰豆子さんを下ろすと、禰豆子さんは私の方に走ってきた。
そして、むぎゅっと抱きつかれる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。