第158話

どうしましょう、宇治金時さん
9,990
2020/04/29 03:27
もし、私が老舗和菓子店を営んでいた祖父母の孫じゃなかったとしても、

きっと私はお菓子に興味を持っただろうし、

甘いお菓子が現状と同じぐらい好きだった事には変わりないだろう。
あなた

今日の昼食に出た義勇さん好物の鮭大根、とても美味しかったです。

冨岡 義勇
ああ、美味かった。
あなた

是非、またご一緒させて下さいね。

冨岡 義勇
…今度は炭治郎も誘おう。
あなた

はい!

冨岡 義勇
それから、…あなたの好きな甘味処も回ろう。あなたが好きだと言っていたからな。
私は目をキュッと閉じると満面の笑みを浮かべ、

まだ微かに濡れている髪を揺らす。
あなた

はいっ。行きましょう、義勇さん。約束です。

冨岡 義勇
っ…///
義勇さんは少し顔を伏せると、「少し出てくる」と立ち上がった。
あなた

冨岡 義勇
先に休んでおけ。まだ慣れていない " 常中 " を任務に初めて持ち込んだうえに、術の解除に酷使した。
身体にかなり疲労が溜まっているはずだ。
彼は「いいか、しっかり休め。」と言い残すと、部屋を出て行ってしまった。


(わ、私…何か失礼な事でも言ってしまったのでしょうか…?!?!?!)



義勇さんが部屋の外へと出て行く後ろ姿を黙って見つめる。
あなた

…ど、どどどどうしましょう…?!何か失礼な事でもしてしまったかも知れません…!

つい1人になった部屋の中で呟いてしまう私を他所に、

『バサバサバサッ』

降り立った彼は何度か窓枠を器用につついてから、窓を開けて部屋に入ってきた。
宇治金時
姫、
あなた

も、もしかしたら、あの表情は怒ってらっしゃったのかも知れません、、

宇治金時
姫ッ、
あなた

ああ、何て事を…どうしましょう……

宇治金時
姫ッッ、
あなた

なのに私は自覚がありません…一体、どんな失礼をしてしま

宇治金時
姫ェッッ!!!
『ビクッ!!』
あなた

はいっ!!!

ゆっくり振り返ると、

私の鎹烏・宇治金時さんが窓枠からピョンッと飛び降りて此方へと寄ってきていた。
あなた

宇治金時さん…

宇治金時
ソンナニ慌テテ、何カアッタンデヤンスカ?
あなた

どうしましょう、宇治金時さん、

『スタスタスタスタ…』

畳の上で弾むように進む宇治金時さんは膝元まで来ると、
正座したままの私の顔を見上げる。
宇治金時
姫ハカナリ心配性デアリヤスカラネ。大シタ問題デハ無サソウッスケド…何ガアッタンデ?
あなた

じ、実は…(かくかくしかじか…)

宇治金時
…ヤッパリ、彼奴ノ事ハ考エナイ方ガ良イッス。
あなた

え?!な、何故ですか??

宇治金時
姫ヲ困ラセル彼奴ガ悪イッス。
あなた

う、宇治金時さん…

宇治金時
…… 姫ガ考エテイルヨウナ事ハ、聞イテイル限リ、マズ有リ得ナイッス。怒ルトコロナンテ無イデヤンスヨ?
あなた

ほ、本当ですか…?

宇治金時

ムシロ、姫ニ対スル好感度ガ上昇シテル気ガ…油断出来ナイッス。(ボソッ)
あなた

宇治金時さん、今何か言いました?

宇治金時
何デモ無イデヤンス!姫ハ気ニシナイデ下セェ。姫ハ必ズ俺ガ悪イ虫共カラ守ルッス!
あなた

え、えっと…ふふっ、頼りにしてますね。宇治金時さん。

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