第81話

後藤side
17,927
2019/10/08 21:14
艶やかな黒髪、透けて背の物が見えてしまいそうな程の白い肌。
桜の様な薄い桃色の唇が、日の光でつやっと光って見える。
上品さを纏いつつも、ころころと激しく変わっていく表情を見ていると、今盛りの華やかな娘にしか見えない。


(この子が本当に…あの『かぐや姫』なのだろうか。)


と、何度も確認したくなる。

確かに美人だと思う、苗字も『月夜里』で間違いない。


(我儘で、野蛮、悪さばかりしていた…)


にこにこ笑ったままの彼女を見続けながら思う。


(更には隊士や柱に抵抗して、風柱様と一戦交えたとは、)
あなた

ど、どうかされましたか?

後藤
見えないんだよなぁ…
あなた

な、何がですか??

後藤
あっ、いや、何でもないです。
ついつい口から出た事に驚き、黒子頭巾の上から口を押さえる。
後藤
そういえば、隊服は着ないんですか?
あなた

じ、実は私、持っていなくて…(汗)

後藤
はっ?!
あなた

最終選別を切り抜けた後、少し訳があって、色々な説明を受ける前に藤襲山を後にしてしまって…

後藤
は、はぁ…成程。
あなた

隊服は欲しいなぁ、と思いますけど、まだ処罰を待つ身ですし、そもそも隊服を何処でお願いすれば頂けるのか…

後藤
俺と同じ隠に『前田まさお』という人が居て、隊服を用意する仕事をしているんですけど、お願いしてみましょうか?
あなた

い、良いのですか?!

またずずいっと俺に顔を突き出す。


(ち、近い…)

後藤
別にいいですよ。ただ、少し問題がある奴なので蟲柱様にもお伝えしておいて下さい。


(ゲスめがねの事だから、また勝手に隊服の形を工夫するだろうしな…採寸とかもあるだろうし。)

あなた

?? は、はい、分かりました。

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