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そういう訳で、私が着ていた蜜璃さん仕様の隊服はしのぶさんの手によって処分された。
まさか、水柱様がいらっしゃるとは思わず、きっと見たくもないものを見せてしまった。
(も、申し訳ないです…)
手渡された小さな小箱に目を落とすと、私はもう一度顔を上げた。
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二着目。
今度はスカートではないものの、
短い丈のズボンで通常の隊服の上着を着ると、まるで何も履いていない様に見える。
それを避けたのか、隊服の上着、シャツ丈が短く、
お腹がチラリチラリと見える。
こちらもどんなにシャツをズボンの中に入れようとしても、
絶対入らない作りになっている。
『ボッ』
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三着目。
前はしっかり閉じられ、下も丈の長いプリーツ無しのスカートだった。
が、着て初めてこの隊服の恐ろしさに気づく。
長丈のスカートの側面は腰下ギリギリから切込みが入っており、
隊服の背には所々に丸い綺麗な穴が開いている。
『ボッ』
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しのぶさんは大きく息を吐く。
襖の向こうの前田さんの声の調子からして、隊服が燃やされた事に精神的にまいっているのが分かった。
最後の隊服の袖に腕を通す。
着替え終えた私を見て、しのぶさんは言った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。