第155話

深海のような瞳、髪
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2020/04/04 17:00
冨岡 義勇
世話焼きで構いに来るところが炭治郎と似ている。
あなた

な、なななっ、た、炭治郎…、がするのと私がするのとでは違うかも、…知れませんっ、、ご迷惑でしたか?

冨岡 義勇
いいや、迷惑じゃない。
あなた

そうですか…

冨岡 義勇
…髪、
あなた

冨岡 義勇
任せていいか?
あなた

はい!是非、お任せ下さい!




義勇さんの髪を束ねた組紐を解くと、

宿部屋に備え付けられた手拭いを義勇さんの頭に乗せて拭き始める。
冨岡 義勇
そういえば、炭治郎は『さん』付けないんだな。
あなた

そう呼んで欲しいと言って頂けたので、今頑張ってる途中なんです。///

冨岡 義勇
そうか…いつか、俺の事も『さん』と付けずに呼んで欲しい。
あなた

へ?! そ、それは駄目です!!!

冨岡 義勇
何故だ?
あなた

義勇さんは私よりも階級は遥かに上ですし、それに義勇さんと私の仲を勘違いをされてしまいます。

冨岡 義勇
仲を勘違い…別に俺は構わないが。
あなた

ぎ、義勇さ…///

義勇さんの『ん』さえも言い終えられずに、私の顔の温度は急上昇を始める。

私が思わず髪を拭く手を止めると、手拭いがスルスルと義勇さんの肩にずれ落ちた。


義勇さんの整えられた顔が膝立ちの私に向けられる。
冨岡 義勇
何か問題があるのか?
あなた

っ////

急に心臓がバクバクと煩い。

義勇さんに自然と吸い込まれそうになる感覚が恐い。


義勇さんとの顔の距離に耐えられなくなり、

私は悟られぬように義勇さんに「下を向いて下さい。」と言った。
冨岡 義勇
あなた

っ…////

冨岡 義勇
あなた

…な、なら、この任務の間だけ、お呼び出来るように…頑張…ります…っ///

冨岡 義勇
ああ。待っている。
顔がどんどん熱くなる感覚、触れる義勇さんの黒髪。

まだ髪が濡れているせいで、熱くなった指先にひんやりと冷感をもたらす。
あなた

…にしても、

冨岡 義勇
どうした?
あなた

いえ、それにしても、綺麗な黒髪ですね…

義勇さんの髪を解いた時はあまり思う事は無かったが、

義勇さんの黒髪は純粋なものではなく、


何処か深海の暗い海を映し出したかの様な “ 青 ” が含まれている。


私の指に触れる度、
指の間をするりと抜けていく度に、

海の底に手を伸ばしている様に感じる。


(瞳といい、髪といい…こんなにも深い青がお似合いなのは…)
あなた

義勇さんだけです…

冨岡 義勇
…?

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