『ガラガラ…』
黄色いおかっぱ男子が入って来たのは、ちょうど私達が食事の準備を終え、猪人間が今まさに食べようとしていたところだった。
私はすっかり汚れてしまった黄色いおかっぱ男子の方に向き直ると、「ははは」とぎこちない笑顔を見せた。
(やっぱり、また黙られた…)
いきなりの大声に思わずビクッと反応してしまう。
(ね、禰豆子ちゃんって誰でしょう…?もしかして、あの背負い箱の中の鬼さんでしょうか?)
ずずいっと私に近づくと、可愛いだの、綺麗だの続けざまに言う黄色いおかっぱ男子に、私は戸惑いを隠せない。
(だだだだだ駄目です!)
炭治郎さんは正座した状態で、こちらに笑いかける。
私はその顔に猪人間のご飯をよそう杓文字の手を止めてしまった。
『ギューーーーンッ』
胸が一気に締めつけられる。
(なんですか、なんなんですか、3人ともなんなんですか…!)
『ブワワッ』
一気に体温があがる。
平静にそんな殺し文句を言える炭治郎さんは凄い。
(あ…あわわ…)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!