第117話

禰豆子さんと遊びたい
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2019/12/08 12:31





なほさん、きよさん、すみさんに教えて貰った『全集中・常中』という技術は、三人が部屋を出て行った後も炭治郎さんに話を聞いていて、とにかく取得するのに困難だという事がよく分かった。

炭治郎さんは寝ている間も全集中の呼吸を続ける為に、なほさん達に手伝って貰って、普通の呼吸に戻った途端に布団叩きで叩いて起こして貰ったらしい。


(む、難しそうです…それでも、何とか取得しないと…多分、私の目的は果たされません…)


私の脳裏に何度もちらつく、昨夜の手紙。

私でも自身が明らかに焦っているのは、嫌でも分かっていた。
あなた

竈門 炭治郎
…さん?
あなた

竈門 炭治郎
あなたさん?
あなた

は、はい!

竈門 炭治郎
あまり考えすぎない方が良い。それに焦るのも良くないぞ。それが大事だから。
あなた

炭治郎さん…

炭治郎さんは嗅覚に優れている。
前に私が桜餅を詰めている時も、私の感情の匂いを嗅いで心配して下さった。
あなた

本当にお優しい方ですね、炭治郎さんは。

私は炭治郎さんが放つ、優しい陽の光の様なものを感じて、そのまま微笑んだ。


(私もこんな風な優しい雰囲気を纏える、素敵な人になりたいです…)
竈門 炭治郎
っ…///
『スススーッ…』

部屋の戸がゆっくり横開きし、桃色の着物が見えた。
あなた

禰豆子さん!

竈門 禰豆子
むっ、むーーっ!
禰豆子さんは私を見ると、ニコニコしながら私に抱きついてきた。

私も温かい禰豆子さんの背に手を回し、ぎゅうっと抱きしめる。
竈門 炭治郎
禰豆子、こんな時間にどうしたんだ?何かあったのか?
竈門 禰豆子
むっ、むっ。
あなた

本当にいつも可愛らしいですね、禰豆子さん。

正座していた私の膝を枕代わりにして、禰豆子さんは仰向けになったまま私の顔に手を伸ばす。

私はそっと禰豆子さんの手の届く範囲に顔を近づけ、優しく頭を撫でた。
竈門 禰豆子
むっ。
禰豆子さんの嬉しいという感情が、素直に私の中へと流れ込んでくる。
あなた

もしかしたら、遊びたいのかもしれませんね。

竈門 炭治郎
暫く眠ってたからなぁ…
禰豆子さんは人を食らうことは無く、一定期間の睡眠で力を蓄えるのだ、と聞いた。

他の『鬼』には無い機能だ。
『血鬼術』と呼ばれる、人を多く食した『鬼』や一定の力を有した、鬼特有の異能力も持ち合わせているらしい。

本当に珍しい鬼さんだ。
竈門 禰豆子
むっ、むっ。
あなた

私で良ければ、禰豆子さんの遊び相手にならせて下さい。わ、私で良ければ、ですけど…!

竈門 禰豆子
むっ!むーっ♪
竈門 炭治郎
えっ!あ、その…明日も早い訳だし…俺達はさておき、あなたさんはかなり過酷な日程な訳で…

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