禰豆子、かくれんぼは楽しかったか?
む〜♪
それは良かったです。私も楽しかったですよ!
むっむっ。
うん、またやろうな!
む〜っ♪♪
それにしても、禰豆子はすっかりあなたさんにべったりだな。
甘えたさんですね、本当に可愛いです。
禰豆子は長女で、人間の頃からよく我慢させ続けてた…着物もいつも自分が繕ったものを着ていて…だから、いつかは俺が綺麗な着物を着せてやりたいんだ。
そうだったんですね…
??
禰豆子さんは暫く首を傾げた後、目を細めて楽しそうに笑った。
そして、何かを思い出して懐からある物を取り出した。
むっ。
え、私にですか?
禰豆子さんから受け取ったのは手紙だった。
ただ、その手紙は例の昨夜の手紙だ。
分厚さと端がよれてしまっているのを見て、気づいた。
禰豆子さん、これをどうして…
俺様が見つけたんだ!
伊之助さんがですか?
どうやら私が机の上に置いていたのを伊之助さんが見つけたらしく、それを禰豆子さんが取り上げて懐に入れたのだ、という。
成程です。
禰豆子さんの手から受け取ると、私はその手紙をじっと見つめて考えた。
…
…
…
…
…
さっきまで賑やかだった空間があっという間に静まりかえる。
不思議そうに見つめる伊之助さんと善逸さん、
そして、心配そうにしている炭治郎さんに私は気付くと、微笑を浮かべた。
禰豆子さんは座り込むと私の手を下に引き、私をその場で座らせた。
…あ、あの、あなたっ、
大丈夫です、心配しないで下さい。
っ…
さっきお話をしようと思っていたのは、この手紙の事なんです。
えっと…一体何の話?全く見えて来ないんだけど…?!
ああ?勿体ぶってんじゃねぇ!何の話だ!
もう何でお前はそういう言い方しか出来ないの?!
ふふっ…
あなた…
む…
私は少しはにかんで、手紙を胸の前で抱きしめるように手で包む。
皆さん、私からお話があります。どうか聞いてくださいませんか?
心を穏やかに、そして逃げては居られない真実の欠片を口にする為に目を閉じた。
あなた…その、良いのか?
はい、大丈夫です。皆さんを巻き込みたくないと思うが故ですから、どうかお話させて下さい。
…いや、本当に話が見えて来ないんだけど…でも、あなたちゃんの話なら何だって俺は聞いちゃうよ?!どどんっと来ちゃって、どどんっと!
はぁ?!どういう事だ!今から何すんだ、月見団子!
だから、今からあなたちゃんが大事な話するって言ってんの!!!!後、月夜里 あなたちゃん!!
うるっせぇ!大きな声出すな!
むー、むーーっ!(怒)
禰豆子さんが伊之助さんと善逸さんを叱るように両手を拳にし、上に挙げて、ブンブン大きく振る。
そうだぞ!静かに聞かないと!
いいですよ、私もそんなに重く話はしたくなかったんです。
…?
私の勝手でごめんなさい。只、いつかは私の足元へとやって来る日の話なんです。私が…皆さんを巻き込みたくないだけなんです。
あなたちゃん…
…
…
あ、き、聞き流す程度で大丈夫ですから!本当に頭の片隅に少しだけでも残っていたらな、って思ってて…
私は胸の前で抱きしめた分厚い手紙にもう一度だけ視線を落とす。
……私、────
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!