柔軟性を高める訓練では、なほさん、きよさん、すみさん達のお陰で何とか身体は柔らかくなった。
アオイさんに相手をして貰い、『薬湯ぶっかけ反射訓練』と『全身訓練(鬼ごっこの様なもの)』の内容は理解出来たし、何とかある程度は様にはなったと思う。
でも、カナヲさんだけにはどちらの訓練も勝てない。
毎日のように相手をして貰っているのに、全く成長が見えない。
(これではまだまだです…何か、足りないもの…私に明らかに欠けているもの…まだ習得しきれていない技術…いえ、多すぎてどれなのか今の私には丸っきり見えて来ないです…)
(そもそも、何か違うのでは…?例えば、動き…無駄な動きがそもそもないです…洗練されて、研ぎ澄まされている様な…)
(他にも探す必要があるのかもしれませんね…何でしょう…動き、体格、感覚…?)
(感覚的な違い…嗅覚、触覚、味覚、聴覚、後は…視覚。 カナヲさんは何処か見ているところが私とは違うのかも知れません。視覚、視覚、視か…)
『トントントン』
戸を叩く音が部屋に響いた。
私は炭治郎さんと顔を合わせると、炭治郎さんは「良いぞ。」と笑って返してくれた。
部屋に足を入れたなほさん、すみさん、きよさんは私の元に歩み進めると、一度顔を互いに見合わせてから本題に入った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!