第10話

チュン太郎
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2019/08/23 12:19
『チュンッ』

すると炭治郎さんの背から先程の雀さんが現れた。
私はなるほどと納得し、雀さんが此方に飛んで来たので再び両手のひらに乗せた。
竈門 炭治郎
チュン太郎、というんだ。あなたさんが起きた事と立ちくらみの事を教えてくれた。
あなた

そうだったんですね。

チュン太郎さんに向き直ると、私は感謝を述べた。
あなた

ありがとうございます、チュン太郎さん。本当にお優しいのですね。

にっこり笑うと、チュン太郎さんも『チュンッ』と鳴いた。
あなた

そうですか、チュン太郎さんの主は炭治郎さんだったんですね。通りでお優しいわけです。

私は思わず炭治郎さんに微笑む。
竈門 炭治郎
あなた

…炭治郎さん?

竈門 炭治郎
あ、いや、何でもないんだ。ただ言葉が綺麗だなって…
私の顔がブワッと熱くなる。

(…っっ、///////)
あなた

そんな、私には勿体無いお言葉なのです。

竈門 炭治郎
いやいやいや!そんな事はない!それにチュン太郎は善逸の鎹雀なんだ。
あなた

善逸、さん?

『ドドドドドッ』

噂をすれば、と現れたのが善逸さんなら話はスムーズだったのだが、そうではなかった。

嫌な予感がして私はギュッと袴の裾を握り締める。

『バーンッ』
あなた

!!!

わざわざ部屋の引き戸を蹴り飛ばして現れたのは、昨夜の猪人間だった。

(やっぱり!!)
猪人間
おい、女!お前のせいで俺様が権八郎に怒られたんだぞ!
竈門 炭治郎
おい、壊すな!ここは人様のお店だぞ!それに俺の名前は炭治郎だ!
のしのしと近づいてくる猪人間に対して、私は「ひぃぃっ」という声を漏らした。
あなた

ごごごごごめんなさい、わ、わ、私のせいで…ごごごめんなさいぃぃい。

猪人間
じゃぁ俺様とちゃんと勝負しろ!
竈門 炭治郎
伊之助!
あなた

わわ私は、あ貴方様が楽しんで勝負出来るような力はは、持っておりませんんっ。

猪人間
あ?俺がしろって言ってんだからしろ!
あなた

ししませんっ!しししたくありません!

猪人間
この弱味噌がっ!

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