第23話

琥珀糖
27,550
2019/08/29 14:18
(さっぱりしました…やっぱりお風呂は良いものですね…)


体がぽかぽかと温まり、体の疲れが一気に取れた気がする。
こんなに素敵なお風呂を提供してくれる、番台のおば様にはいつも感謝させられる。
あなた

只今出ました!

湯屋の番台
…ああ、あなたちゃん。湯加減はどうだったかい?
あなた

たっぷりほっこり出来る温度でしたよ。素晴らしかったです!

湯屋の番台
そうかい、それは良かった。
あなた

あの…これを…

私は風呂敷から事前に出していた巾着から、紙袋を取り出す。
あなた

これは私の試作品なのですが、良ければ貰って頂けませんか?

湯屋の番台
いいのかい?
番台のおば様がさっそく紙袋の中に手を入れ、一欠片取り出す。
湯屋の番台
綺麗だねぇ…
あなた

琥珀糖です。

寒天を煮溶かし、砂糖を加え、鬱金粉と呼ばれるもので着色して煮詰める。
それから檸檬または橙皮油を混ぜ、冷やし固める。
簡単に作れるお菓子だが、これには自分流に何か工夫を凝らせると思ったのだ。
あなた

色によって味を変えていますので、楽しめるとは思うんですけど…良ければお仕事中に小腹が空いた時にでも食べて下さい。

湯屋の番台
ありがとう、あなたちゃん。受け取るわ。
あなた

はい!

おば様から外で炭治郎さん達が待っている事を伝えられ、私は慌てて引き戸を開けようとする。
湯屋の番台
あなたちゃん!
あなた

は、はい?

湯屋の番台
…もういいんだよ、充分返して貰ったから。この地を離れても構わないんだよ。
あなた

…いえ、そういう訳にはいきません。鬼殺隊士になったばかりの私を暖かく面倒を見て下さったのですから。それに、これは私の為でもあるので。

湯屋の番台
あなたちゃんが来てくれてから、随分鬼も減った。今やここの町の人達は鬼の存在など忘れているぐらい平和だよ。
あなた

湯屋の番台
あなたちゃんも気づいてるはずだよ、ここに来る鬼にこれ以上問うても情報が得られない事ぐらい。もっと遠くで広く探すべきよ。町の皆もそれを望んでいる。

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