第84話

17,829
2019/10/12 03:58
あなた

…ん、

春もかなり過ぎ、朝の冷え込みもだんだん少なくなっていく。
あなた

…。。。

何度か瞬きをするが、目がしょぼしょぼするのに加えて、瞼を閉じて暫くすれば、あっという間に夢の世界へと吸い込まれそうだ。
あなた

……しのぶさんの、おはぎ…作らないと、、ですね…

眠い目を擦りながら、身支度を済ませると、昨夜にしのぶさんに頼まれたお萩作りに取り掛かる。


(本当にしのぶさんは好きなんですね…)
あなた

ふふふっ、

下拵えを済ませ、さて作ろうかと、襷の端を咥えてササッと慣れた手順で袂が邪魔にならない様に襷掛けをする。
あなた

やりま、、ふわぁっ…

不意に少し大きめの欠伸をした時だった。
我妻 善逸
あなたちゃんっ…
振り向くと、調理場の入口の影からこちらを覗く善逸さんの姿があった。
あなた

ぜ、善逸さんっ、おはようございます。今日はとても早いんですね。

我妻 善逸
あ、あああっ、うんっ、ちょっとね、やりたい事があってさ、
既にきっちり着替えられた隊服に黄色い羽織。
何処かへ出掛けるのだろうか、寝癖を直すのも含めて身支度をしっかり終えている。


(やりたい事って何でしょう…?)
あなた

あ、あの…やりたい事って、

我妻 善逸
へっ?!
あなた

えっ、ああっ、あのっ、別に全然気になさらないで、だだだ大丈夫なんですけどっ、差し支えなければ聞きたいなんて思ってしまって、、っ、

我妻 善逸
あなたちゃん、大きい声出しちゃ駄目!伊之助と炭治郎が起きちゃうから!
あなた

ご、ごめんなさいっ…

慌てて口に手を当てると、軽く頭を下げる。


(…そもそも、何故、炭治郎さんや伊之助さんだけなのでしょう…?何かお二人さんに隠し事でもなさってるのでしょうか…??)


ふと疑問に思い、そのまま考えていると、「あ、あのさ、」と善逸さんが瞳を盛んに動かしてから私に話し掛けた。
あなた

ど、どうしましたか?

我妻 善逸
いや、そんなに大事なわけでもないんだけどっ、…あ、いや、俺には大事なんだけどねっ?!
あなた

は、はい…?

我妻 善逸
だ、大丈夫だよね、誰も見てないよねっ…?!
キョロキョロと辺りを見渡して、屈んだ状態なので、いつもより小さくなっている善逸さん。

挙動不審な善逸さんの傍で私は首を傾げて待っていると、善逸さんは一度咳払いをしてから私に向き直る。
我妻 善逸
た、単刀直入に言うと、
あなた

はい、

我妻 善逸
…今日さ、ちょっと暇あったりする?

プリ小説オーディオドラマ