第5話

猪人間 と 黄色のおかっぱ男子
43,807
2019/08/22 09:38
私は苦笑すると、炭治郎さんの方へ一気に蹴り出す。
炭治郎さんは危険を察したのか背負い箱を下ろし、その箱の少し離れた前に立った。

『ドサッ』
竈門 炭治郎
…っ!
私は刀を持ったまま、炭治郎さんを蹴り倒す。
が、刀は炭治郎さんの前腕で弾かれる。
あなた

っ!

竈門 炭治郎
俺は、君とは、やりあわない!
あなた

ご、ごめんなさい!け、けど、私はこれしか無いのでっ…

お互い腕を掴み合って攻撃を阻止する。

私は歯を食いしばり押し続けるが、炭治郎さんの力は強すぎて、私なんぞの力では押し返すのがやっとだ。攻めることなど出来そうにない。

『ドサッ…』

あっという間に炭治郎さんの力に負けてしまい、今度は私が下になる。
あなた

…っ、た、炭治郎さん、お、お願いです…背負い箱の鬼さんに

竈門 炭治郎
お、落ち着いてくれ!
あなた

っ…!

うわぁぁぁあんっ、炭治郎ぉぉぉお!
揉み合いになっている最中に、飛んできた叫び声。


(だ、誰なのでしょうか…?)


『ドドドドドッ』

凄い勢いで土煙が上がっている。
土煙を起こしているのは…なんと、1人の男の子を持ち上げて走る、謎の生き物だった。
猪突猛進!猪突猛進!
あなた

へっ?!

猪の頭皮を被り、「猪突猛進!」と走っている。
頭は猪、身体は人間という、今まで見たことの無い生き物に私の頭は一瞬混乱に陥る。
上半身は鍛えられた裸体で、下半身には隊服の長袴だけを履き、腰には2本の刀をさしている。
あなた

まさか、藤襲山の…

竈門 炭治郎
…っ、
『ドスンッ』
猪人間
ははははっ!
炭治郎ぉぉお、もぉこいつ嫌ぁ!
猪人間に投げ捨てられる様に下ろされた男の子は、
なんとも鮮やかな黄色のおかっぱのような短髪だった。
毛先には橙に染められており、
炭治郎さんと同じく黒い詰襟の隊服を着用。
上から髪色と同じような黄色の生地に鱗模様とも言うべきか、
白い三角形が散らされている。

プリ小説オーディオドラマ