第100話

100…
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2021/03/29 08:52
あなたside




今日は目覚ましが鳴る前に目が覚めた



寒いせいか まだ布団からは出たくなくて
携帯を開く



《深澤辰哉 半同棲》



と書かれた記事が目に入る




どこまでも嘘を書く記者、




ふっかはずっとこの家に居るのに、



なんて思っていると



コンコン



扉をノックする音が聞こえた



『はい…』


体を起こし返信をすると
ゆっくり扉が開く



ひょこっと顔を出したのは
ずっとずっと私が求めていた



『ふっか…、』


深「ごめん、起こしちゃった?」



少し気まづそうに話すふっかが愛おしくて



『ううん、起きてたよ』


そう笑って言うと


ふっかはゆっくり私に近づき
ベットに腰掛ける



深「あっ…、」


何かを見て小さな声を出すふっかと
同じ所に目線を送ると


そこには私の携帯があって
まだ ふっかの記事を開きっぱなしだった



『嘘ばっか書くよね、』


携帯を閉じると


深「ごめん、」


下を向いて謝ってくるふっか


『ふっかは何も悪くないでしょ?』


まだ寝癖が付いている頭を優しく撫でると
ふっかは撫でていた私の手を握り



深「その呼び方やめてよ、」



悲しい顔をしてそう言った



深「…あなたと別れた理由、」


深「ちゃんと伝えてなかったから、」



下を向いてゆっくりゆっくり話すふっか



もう傷つきたくないのに、
別れた理由なんて聞きたくないのに、
ほんの少しの期待がある私



深「あなたの事 嫌いになって別れたんじゃない」


深「このまま付き合ってても…」


深「あなたを傷つけるだけだと思って別れを選んだ、」


深「好きな人にはずっと笑ってて欲しいから」



今にも泣きそうな顔でニコッと笑うふっか
そんなふっかの頬に手を伸ばし



『笑ってて欲しいなら…辰哉の側に居させてよ、』


深「えっ、」


『私は辰哉が側に居てくれるだけで幸せだよ?』


そう言うとふっかは私に優しくキスをした



深「俺と付き合ってくれる?」


なんて照れくさそうに言うふっかに
私も触れるだけのキスをして



『辰哉…待ってたよ、』



私たちは
またよりを戻す事ができた





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