第93話

93…
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2021/03/27 13:50
あなたside



辰哉に着いて行き部屋に入り
扉を閉める



カーテンは締め切っていて
部屋は薄暗い



『…辰哉?』


こっちを向かずに私に背を向けたまま
立ち尽くす辰哉を恐る恐る呼ぶと



深「あなた…」



『ん?』



いつもは感じた事がない
重たい空気に怖さを覚える



この後何を言われるのか
どうして私を見てくれないのか…、






深「…俺たち別れようか…、」





辰哉が言った言葉は
私が想像している物では無かった…、




『えっ、』



『やだよ!私 別れたくない!』



私がそう言うとゆっくり辰哉は振り返り
目に沢山 涙を溜めて私を見つめる辰哉



そんな辰哉を見て私の視界も歪んでいく




深「あなた…ごめん…、」



そう言って辰哉は静かに涙を流した





あぁ…私たち終わりなんだ…、
もう辰哉の隣には居れないんだ




『わかった…』



涙を流している事を気づかれないように
私は辰哉に背を向け



『…今までありがとう』


『…幸せだったよ…辰哉』



そう言って部屋を出た





幼い頃から好きだった辰哉




やっと実ったと思った恋は
あまりにも呆気なく終わった






私は…、




辰哉には似合わなかった。






辰哉にはもっといい人が居る。






私は幸せだった。







夢みたいな日々をありがとう…、






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