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第5話

( Ⅴ )
黒尾先輩に告白して振られて
あれから無意識に黒尾先輩を
避けるようになった。

バイト終わりも前みたいに会わないように
いつもと違う道から帰ったり
学校で見かけても気づかないふりをしたり
衛輔くんに"バイト忙しくなるから"と言って
部活の練習風景の写真を撮るのを辞めたり

黒尾先輩に会わないようにしていた。

あの日から1ヶ月が経ち、今日は、終業式だ。
しばらく黒尾先輩を見なくていいと思うと
少しだけホッとしたが、悲しくもなった。

(少し話したいな…)
だって、まだ好きなんだから _______

終業式が終わってすぐ
私はケーキ屋に向かった。

ケーキ屋のバイトが終わってから
カフェのバイトも行かないといけない。

今日から3日間は忙しくなるだろう。
(今年も私はひとり、か…)
ため息をついた。
夜久 衛輔
夜久 衛輔
幸せ逃げるぞ?
衛輔くんにそう言われた。
今日は部活がないので一緒に帰っている。
朝倉 七海
朝倉 七海
今日から3日間ケーキ屋でバイトなの!!
夜久 衛輔
夜久 衛輔
あ〜、言ってたな?
朝倉 七海
朝倉 七海
もう、しんどいよ
夜久 衛輔
夜久 衛輔
七海はよく頑張ってるよ
無理はするなよ?
朝倉 七海
朝倉 七海
ありがとう
彼はとても頼もしくなって
小さい頃とは違うんだなと感じた。

家について私は急いで準備をした。
(そういや衛輔くん…1日練習試合だって言ってたな…)

今年も衛輔くんたちと過ごせるのはとても嬉しかった

_____________________
私は3日間のバイトを終え
カフェから家まで帰ろうとした。

3日間の疲れが溜まっていて
前のルートで駅に向かうことにした。

少し休もうと思い、近くの公園に行くと
ベンチに座る男の人の姿が見えた。

近くに行くと、その人は寝ていた
朝倉 七海
朝倉 七海
…黒尾先輩……?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
……っ…ぁ…
な、なみ、ちゃん…?
少し苦しそうな表情でこっちを見る。
息も荒い。
朝倉 七海
朝倉 七海
こんな寒いのに何してるんですか?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
いや…ちょっと…
そう言って立ち上がろうとした彼は少しふらつき、私が支えると体がとても熱かった。
朝倉 七海
朝倉 七海
黒尾先輩、大丈夫ですか?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
…ん
彼は苦しそうに頷く。
家に誰かいるかを聞いたが、
みんな旅行に行っていて帰るのは
明日の夜だそうだ。

とりあえず家まで送ることにした。
家を教えてもらい、鍵を開けて
部屋に入る。

ベッドに寝かせてから
とりあえず母に事情を説明し
明日には帰ると連絡をした。
朝倉 七海
朝倉 七海
薬とかあります?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
……うん…
とりあえずおでこを冷やした。
キッチン借りますねと一声かけて
おかゆを作り、食べてもらった。
朝倉 七海
朝倉 七海
ちょっとでも食べないと
お薬飲めないので…
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
…ありがとう……
少ない量だったが
食事してもらい、薬を飲んでもらった。

熱を測ると39度近くあった。

(こんな状態で練習試合を……?!)
私はつきっきりで看病をした。

深夜に熱を測ってみると
少しだけ下がっていた。

(良かった…)
彼の寝顔は少しだけ幼く見えた。
いつも頼れる背中を見せていた彼が
少しだけ子どもっぽく見えた。

(フフッ、かわいいなあ…)
そう思いながら彼と手を繋いだ。
大きくて熱い手。
これが、黒尾先輩の手……
骨張っていて男の人の手という感じで
ドキッとした。

繋いでいる手から感じられる温もりが
私の胸を温かくしてくれた。
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
…ん……
起こしてしまった…と思い、手を離した。
彼はまだ寝ていた。

まあ一度手に触れようとした時
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
……り、んか…
彼はそう呟いた。
彼の中で琳華さんがどれだけ大きくて
大切な存在なのか改めて実感させられた。

やっぱり、私じゃだめなんだ。と。

帰ろうと思ったが
もう深夜1時を回っていた。
終電もなければ
こんな時間に一人で歩くのも怖い。

私は黒尾先輩の家に残ることにした。

ケーキ屋やカフェで
持って帰っていいよと言われた
ケーキたちを一人で食べようと思ったが
悲しくなったので、箱に
「皆さんで食べてください。朝倉七海」
というメモを貼っておいた。

黒尾先輩なら気づいてくれるだろう。
そう思い、冷蔵庫に入れさせてもらった。

部屋に戻ると黒尾先輩のおでこに乗せていた
タオルが落ちていた。
とても熱かった。

彼の顔を見ていると悲しくなる。
私がここにいてはいけない気がした。
琳華さんじゃないと意味がない気がした。

(なんか…だるいな…体が………)
瞼が少しずつ落ちてきて
目を閉じた。

(明日朝早く起きて気付かれないうちに帰ろう)
そう思いながら黒尾先輩のベッドにもたれて眠った。

_____________________

次の日の朝。
窓から差し込む朝日で目が覚めた。
時間を見ると朝の7時だった。
黒尾先輩はまだ眠っていた。

(疲れが溜まっていて、あの寒さの中公園にいたからなあ……)
そう思い、熱を測ると平熱まで下がっていた。
一安心し、私は彼を起こさないように立ち上がった。
毛布も被らず寝ていたので
体がとても冷えていて
体が熱く重くだるく感じた。

(まあ、大丈夫…だよね)
私はそう思って、台所で簡単な朝ごはんを作って彼の部屋に持っていった。

テーブルの上に置いてメモを残しておき
私は彼の家から帰った。

_____________________

家の近くまで来ると衛輔くんがいた。
朝倉 七海
朝倉 七海
…ぁ…衛輔、くん…
夜久 衛輔
夜久 衛輔
七海!大丈夫か?
少しだけフラフラする私の体。
熱はないと思うのだが、
とても寒いし、体が重い。
朝倉 七海
朝倉 七海
うん……
衛輔くんが私のおでこを触ってきた
夜久 衛輔
夜久 衛輔
おま!すげえ熱!
おばちゃんちょっと出かけるって
言ってたけど…
朝倉 七海
朝倉 七海
寝たら治るから…大丈夫だから…
夜久 衛輔
夜久 衛輔
心配だから、俺も家上がる
そう言って彼はついてきた。
昨日会ったことを全て話し、
黒尾先輩の風邪がうつったの
ではないかと言われた。

もしかしたらそうかもしれない。
昨日つきっきりで看病していたから
うつってしまったのかもしれない。

そんなことを思いながら
私は目を閉じた。
衛輔くんの声が少しずつ遠くなった。

いつの間にか、寝てしまっていた。