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第8話

( Ⅷ )
目を覚ますと、もう朝だった。
起き上がるとベットにもたれて寝ている
黒尾先輩がいた。
朝倉 七海
朝倉 七海
…黒尾先輩、また風邪ひきますよ…
そう言ってわたしは毛布をかけてあげた。
熱を測るともう平熱まで下がっていた。

(これも先輩のおかげかな…)
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
……ん…
朝倉 七海
朝倉 七海
…黒尾先輩?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
……七海、ちゃん…?
彼は寝ぼけているのか
私の手を握った。

私の顔が一気に赤く熱くなる。
朝倉 七海
朝倉 七海
黒尾先輩
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
…ん?
彼はハッとして手を離した。
「ごめん」と謝って俯いていた。
朝倉 七海
朝倉 七海
今日、予定空いてます?
私がそう聞くと、彼はぽかんとして頷いた
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
どして?
朝倉 七海
朝倉 七海
一昨日も昨日も
クリスマスできなかった、でしょ?
一緒にしません?
断られると思った。
琳華さんのところに行くと思った。

でも彼は、眩しい笑顔で
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
そうだね!
と、言ってくれた。
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私は黒尾先輩と一緒に
外に出かけることにした。

ハルのお店に行って
一緒にケーキを食べたり
公園でお話ししたり
気づけばもう、辺りは暗くなっていた。
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
七海ちゃん大丈夫?
朝倉 七海
朝倉 七海
何が、ですか?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
体調…病み上がりだから…
朝倉 七海
朝倉 七海
大丈夫ですよ!
ありがとうございます
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
そろそろ、帰ろっか
ここで帰ったら
きっと黒尾先輩に会うのは1月。
せめて、連絡先だけでも交換したかった。
でも、そんなこと言える勇気はなかった。
朝倉 七海
朝倉 七海
…帰り、ましょうか…
彼は私の横に並び歩き出した。
一歩一歩歩く度に足が重く感じる
帰りたくない、と
まだ一緒にいたい、と
ワガママな私が出てきている。

(だめ!我慢しなさい!朝倉七海!)
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
…寒い、ね
何も話さずにいたのを
不思議に思った黒尾先輩が
私にそう話しかけた。
朝倉 七海
朝倉 七海
え、あ…、はい
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
あのさ、七海ちゃん
黒尾先輩が何か言いかけた時、
彼のケータイが鳴った。

電話だ。
彼は出るか迷っていた
朝倉 七海
朝倉 七海
あ、大丈夫ですよ
お気になさらず
彼はごめん、と言って電話に出た。
少しだけ電話での会話が聞こえてしまった
相手の声も、そしてそれが誰かも分かってしまった
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
琳華…?どうした?
(やっぱり…琳華さん、か…)

これ以上は話を聞くのも悪いなと思ったので
近くのベンチに座った。

こういう時、素直に言えてたら
電話に出ずに琳華さんの元に行かずに
私のそばに居てくれるのかなと考えてしまう。

黒尾先輩の中から、まだ琳華さんは消えきっていないのだと思った。

電話を終えた彼が私の元に来る。
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
ごめん、七海ちゃん
朝倉 七海
朝倉 七海
あ、いえ…
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
俺、行かなきゃ…
朝倉 七海
朝倉 七海
…え…?
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
琳華のところ…
やっぱり、行ってしまうんですね
朝倉 七海
朝倉 七海
…行ってきてください!
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
ごめん、ほんと
朝倉 七海
朝倉 七海
大丈夫ですよ、一人で帰れますから
黒尾 鉄朗
黒尾 鉄朗
でも……
朝倉 七海
朝倉 七海
…行ってきてください!
…っ、はやく…っ!
彼はごめんと言って
走って彼女の元に向かった。

せっかく楽しい時間を過ごせていたのに
やっぱり私じゃ黒尾先輩の隣には
いれないんだと思った。

もういい加減諦めないといけない。
そう考える度に涙が止まらなくなった。
朝倉 七海
朝倉 七海
…なんで……っ
夜久 衛輔
夜久 衛輔
…な、なみ?
私が泣いていると
近くにランニングしにきていた
衛輔くんに会った。

衛輔くんには泣いているところは見せられない
私が泣いていたら黒尾先輩が
責められるかもしれないから。
夜久 衛輔
夜久 衛輔
おま、どうしたんだよ
朝倉 七海
朝倉 七海
いや…
夜久 衛輔
夜久 衛輔
黒尾は?
朝倉 七海
朝倉 七海
…あ……
夜久 衛輔
夜久 衛輔
ん?
彼は私の顔を覗いてきた。
まだ涙が止まっていない。
自分の中では「止まれ!」と言っているのに
溢れるばかり
夜久 衛輔
夜久 衛輔
なんで、泣いたんだよ七海
朝倉 七海
朝倉 七海
なんでも、ないから…
夜久 衛輔
夜久 衛輔
黒尾か?
衛輔くんは昔から言わなくても分かってくれる。
私に何が起きたか大体分かってくれる。
朝倉 七海
朝倉 七海
…違う
夜久 衛輔
夜久 衛輔
それ以外に誰がいるんだよ
今日一緒にいたんじゃないのか?
朝倉 七海
朝倉 七海
そうだけど…
夜久 衛輔
夜久 衛輔
じゃあ、どこに?
朝倉 七海
朝倉 七海
……り、んか…さんのところ…
彼女の名前を出すのも嫌だった。
衛輔くんは琳華さんのことを知っているから。
夜久 衛輔
夜久 衛輔
琳華…の、とこ…
朝倉 七海
朝倉 七海
うん…
夜久 衛輔
夜久 衛輔
あいつ……っ
衛輔くんは怒っているように見えた
いつも笑顔で穏やかな衛輔くんが珍しく怒っていた。

夜久 衛輔
夜久 衛輔
帰ろう、七海
朝倉 七海
朝倉 七海
…うん
私は彼に手を引かれ
家まで一緒に帰った。

今日のこと、
しばらくは思い出してしまいそうだし、
立ち直れそうにもない。









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黒尾先輩、わたし
貴方のこと、諦めます

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彼に会ってもいつも通り過ごすだけ
ただの"先輩"と"後輩"になるだけ。
もう、好きだとは思わない。

そう決めた。