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kuroo tetsuro side...
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七海ちゃんを振ってから3ヶ月
彼女のことがまだ忘れられない。
聖奈と付き合ってるはずなのに
彼女と別れてからも頭の中に1番に浮かぶのは
_________ 七海だった。
春高まで約2週間。
そんなある日 _________
勝負の日。10月25日。
その日は東京都3代表を決める
大事な日だ。
まだ試合は始まってないが
それに残らなきゃ春高への切符はもう、掴めない。
例年通りだと、多分確実に上がってくるのは
王者・井闥山と梟谷、だろう。
そこに絶対俺たちも残るんだ。絶対。
彼は七海が好きなんだ。きっと。
小さい頃から見てきたから
彼が一番知っている。
七海がどんな子で
どんなふうに育てられてきて
どう成長していったか。
従兄弟である彼が一番分かっているんだ。
いつからこんな欲を出すようになったんだろう。
聖奈と付き合ってるのに、俺。
最初から分かってた。
七海に別れようと言った時も
七海に2回目の告白をされた時も
俺は七海が好きなんだ、って
聖奈じゃ、七海の代わりにはなれないって
七海じゃなきゃ、ダメなんだって。
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あれから1週間が経った。
部活が始まる前、
夜っ久んと研磨が話していた。
更衣室から聞こえる二人の声。
七海のことを話しているようだ。
七海の記憶が戻った…?いつ?
いつ戻ったんだ?
俺は気になって扉を開けた
なんで俺だけ言ってくれなかったんだろう。
なんで…なんで…っ
夜っ久んだって、好きなはずなのに…
彼はそう言って笑っていた。
_________ ドンドン!
誰かが扉を叩く音。
聞こえた声は聖奈の声だった。
彼女は動揺していた。
故意にやったわけではないことは信じる。
ただ…
そう言われて、
俺は急いで屋上の階段に向かった。
更衣室の近くの階段でよかった。
七海、生きててくれ……
死なないで……くれ…
もう一度俺のそばで…笑ってくれ……
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_________ お願いだから死なないでくれ…
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kuroo tetsuro side end...
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!