あなたサイド
入院1日目。抗がん剤による点滴の副作用でひっきりなしに吐き気が襲い、私の体を蝕んでいく。戻すのもかなりきつくて体力を持っていかれ、治まる頃には起き上がる力もないほどにぐったりしている。
紫耀も夕方までは仕事だから、日中はLINEでのやり取りしかできなかった。
嘘も八百
やっぱり紫耀に嘘なんかつくものじゃないなぁ笑
紫耀に余計な心配掛けないように“笑”を使い回す
“笑”って便利
あぁ、また来た。辛い、逃げたい、ここから今すぐ
紫耀にすごく会いたくて、今にもそこのドアから駆けてきてくれそうなのに
ピコン
“一件の新着メッセージがあります”
私のLINEは一向に既読が付かなかった
そして20分くらい後
ガラガラ
紫耀は優しい手つきで背中をさすってくれる
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。