第6話

子供が出来ました!
141
2019/06/08 08:38
弟子ができてから暫く経って、ようやくこの生活にも慣れてきた頃……

何かトラブルが起こる前になるドアを叩く音が聞こえた。
ドンドン!ドンドン!
リイナ
リイナ
はいはい
今出まーす!
そう言って、私が扉を開けると……
???
魔女リイナ!
覚悟しなさい!あなたを倒す!
いきなり、宣戦布告してきた。
リイナ
リイナ
……え……?
???
あなたを倒すといっているの!
早く……殺り合いましょう
この子は何を言ってるのかさっぱり分からなかった。


腰までありそうな髪をツインテールでまとめていて、ギンガムチェックのワンピースを着ている可愛い女の子なんだけど、言葉が地味に怖い。
リイナ
リイナ
あなたみたいな小さい子がそんな言葉使っちゃいけないのよ。
???
私、生まれてからもう五十年以上たってるんだけど?
リイナ
リイナ
え!?
ウソ……
???
ウソじゃないけど?
リイナ
リイナ
そ…そうなんだ
そういえば、あなたのお名前は?
衝撃発言もあったけど、とりあえず目の前にいる幼女姿の子が可愛くて、色々質問してみることにした。
この子と戦うかは置いといて……
エミリア
エミリア
エミリア……
それが……、私の名前……
リイナ
リイナ
エミリアちゃんね。
エミリアちゃんは、お父さんとお母さんは?
エミリア
エミリア
は?
そんなの元からいないけど?
リイナ
リイナ
え!?
じゃあ、どうやって生まれたの!?
エミリア
エミリア
私は、水の精霊だもの。
親は要らずに勝手に生まれるの。
リイナ
リイナ
『精霊』!?
エミリアちゃんが!?ウソ……
エミリア
エミリア
だから、ウソじゃないし
それに、私があなたを倒すといったのはあなたが精霊魔法が使えるから
リイナ
リイナ
私が精霊魔法を使えるから?
エミリア
エミリア
そう……
というわけで、早く殺りましょう!
このながれで、そこ!?
ちょっと、マイペースなところもある子なんだな。



と、とにかく、たとえエミリアちゃんが精霊だとしても、相手の姿は幼女なんだし戦うことに抵抗があるんだよな。
リイナ
リイナ
え~と、絶対に戦わなきゃダメ……
なの?
エミリア
エミリア
当たり前!!!
だから、早くこっちに出てきて!
これは……話を聞いてくれないな
仕方ないか……ここは腹をくくって……
リイナ
リイナ
うん……分かったよ。
じゃあ、あそこの野原でいい?
エミリア
エミリア
うん、そこでいいから
と、決まったところで話を来ていた弟子二人がー
マユカ
マユカ
師匠、本気ですか?
相手がたとえ精霊だとしても、師匠が本気になったら……
イリノ
イリノ
そうだよ!マユカさんの言う通りだよ
リイナ様!
私の実力を知っている二人が止めてきた。
リイナ
リイナ
分かってるから、本気ではやらないよ。
イリノ
イリノ
ホント!?
リイナ
リイナ
うん、だから勉強は少し中断するね。
イリノ
イリノ
あっ!リイナ様!
私、見学したいです!
……ダメ……ですか?
リイナ
リイナ
クスッ
ふふっ、駄目じゃないよ。それに言ってるじゃない。学ぶ意欲のある人は好きだって
イリノ
イリノ
わーい!
イリノちゃんは、本当に嬉しそうに喜んでいた。
私も将来を担う子供はしっかり育てないと、と何故かこのとき思った。
そして、遂にエミリアちゃんと戦うとき……
エミリア
エミリア
絶対に倒す……!
エミリアちゃんは、殺意しかなかった。
リイナ
リイナ
…………
私は、なるべく傷つかないようにするため魔力も抑えめにしておいた。
エミリア
エミリア
このときのために、ずっと練習していた魔法があるの!
        マテオラセン!
くらいなさい!『対魔女螺旋!』
中二病ーー!


……じゃなくて、このままじゃ私がやられる


とりあえず、魔法障壁を展開してーそれから適当に傷つかないように初歩的な攻撃魔法を放とう
ところが……普通なら上級魔法でも簡単に防げる魔法障壁が簡単にエミリアちゃんの魔法で破れた。
リイナ
リイナ
……え……?
エミリア
エミリア
ふっふっ
これは、精霊魔法を使う人間が現れたとき用に練習しといた魔法。精霊魔法を使う相手は使う魔法全てが初級魔法以下の威力になるの!
……つまり、私は今エミリアちゃん以下の魔法しか使えないわけか……


フム……さて、と、どうするかな


……そうだ、私は新しい魔法が作れたんだ。
つまりー、精霊魔法も作れるというわけで、前世で読んだ本の知識を借りて……

よし!これなら使えるかな?
Let's try!…………なんちゃって😜
リイナ
リイナ
じゃあ、こっちもいくね。
エミリア
エミリア
何言ってんの?
さっき言った通り、あんたの攻撃は初級魔法以下なんだよ
リイナ
リイナ
うん、そうだね。
でも……これならどうかな?
私は、エミリアちゃんの言い方に少しカチンってきたけどそこは大人だからスルーして……さっき考えた(正確には、前世の本の知識を借りた)魔法を放った。
リイナ
リイナ
精霊魔法『アクアカッター』!
エミリア
エミリア
え!?
それって…水の精霊魔法……
で…でも、私に効くわけないし……
と、エミリアちゃんは、少し驚いただけで防御魔法を使おうとしなかった。

それに、エミリアちゃんは、まだ気づいていなかった。
この勝負、私の勝ちだってことに……


さっき、魔法障壁を展開したときは、魔法に使う魔力が一気に無くなった感覚があったけど、この精霊魔法にはその感覚が無かった。


つまり、本来の威力のままエミリアちゃんに魔法が向かってるわけで…
いくら、水の精霊といっても、魔法をもろにくらったらダメージはありそうだし……



私は、放ってしまった罪滅ぼしのようにエミリアちゃんに魔法障壁を展開してあげた。と、同時にアクアカッターが私が展開した魔法障壁にあたって消えていった。

……か、間一髪、間に合ったー
それは、弟子達も思ったようで……
イリノ
イリノ
危なかったー
マユカ
マユカ
そうですね、姉弟子。
もう少し、師匠が魔法障壁を展開するのが遅れたらエミリアちゃんは無事ではすまなかったでしょう
そして、当のエミリアちゃんはというと……ー
エミリア
エミリア
私が負けた…
今まで、精霊魔法使いに勝ってきたのに、どうして……
放心状態だった。
イリノ
イリノ
それはねー、エミリアちゃんが自分の力を信じすぎて、他の魔法を練習しようとしなかったからだよ。
イリノちゃんは、私が教えたことの受け売りになるけど、しっかり教えを覚えててそれをエミリアちゃんに伝えた。
エミリア
エミリア
そんな……
イリノ
イリノ
あ!ならさ!リイナ様さえよければ、
エミリアちゃんもリイナ様の弟子になろうよ!
エミリア
エミリア
私が魔女の『弟子』?
イリノ
イリノ
魔女じゃなくて、リイナ様だよ!
イリノ
イリノ
リイナ様、それでどうかな?
リイナ
リイナ
うーん、それでもいいんだけどこれ以上弟子を増やすと私が困るんだよね。
イリノ
イリノ
そっか……
イリノちゃんは、私の答えにすごく落ち込んでいた。
私は、イリノちゃんが悲しそうにしていたからうっかりとあることを言ってしまった。
リイナ
リイナ
じ、じゃあさ、エミリアちゃん。
私の『子供』にならない?
エミリア
エミリア
え?『子供』?
どうして?
リイナ
リイナ
弟子は無理だけど、子供なら弟子とは立場が違うけど魔法も教えられるし……
エミリアちゃんが魔法を覚えたいなら、私は大歓迎だし、嬉しいな。
私がそういうと、エミリアちゃんは、少し考えたあとー
エミリア
エミリア
分かった。
…………か、母さん
と、凄く恥ずかしそうに言ってくれた。

その顔が可愛くて、私はついエミリアちゃんを抱き締めてしまった。
エミリア
エミリア
母さん……少し苦しい……
リイナ
リイナ
あ……ごめんね。
でも、エミリアちゃん。これから宜しくね!
エミリア
エミリア
うん……母さん!
こうして、私に可愛い子供ができたのでした。

マユカ
マユカ
師匠、精霊の子供ときたのですから
今度はエルフですか?それとも別の種族ですか?
マユカ、お願いだからフラグたてないでーーーー!

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