弟子ができてから暫く経って、ようやくこの生活にも慣れてきた頃……
何かトラブルが起こる前になるドアを叩く音が聞こえた。
ドンドン!ドンドン!
そう言って、私が扉を開けると……
いきなり、宣戦布告してきた。
この子は何を言ってるのかさっぱり分からなかった。
腰までありそうな髪をツインテールでまとめていて、ギンガムチェックのワンピースを着ている可愛い女の子なんだけど、言葉が地味に怖い。
衝撃発言もあったけど、とりあえず目の前にいる幼女姿の子が可愛くて、色々質問してみることにした。
この子と戦うかは置いといて……
このながれで、そこ!?
ちょっと、マイペースなところもある子なんだな。
と、とにかく、たとえエミリアちゃんが精霊だとしても、相手の姿は幼女なんだし戦うことに抵抗があるんだよな。
これは……話を聞いてくれないな
仕方ないか……ここは腹をくくって……
と、決まったところで話を来ていた弟子二人がー
私の実力を知っている二人が止めてきた。
イリノちゃんは、本当に嬉しそうに喜んでいた。
私も将来を担う子供はしっかり育てないと、と何故かこのとき思った。
そして、遂にエミリアちゃんと戦うとき……
エミリアちゃんは、殺意しかなかった。
私は、なるべく傷つかないようにするため魔力も抑えめにしておいた。
中二病ーー!
……じゃなくて、このままじゃ私がやられる
とりあえず、魔法障壁を展開してーそれから適当に傷つかないように初歩的な攻撃魔法を放とう
ところが……普通なら上級魔法でも簡単に防げる魔法障壁が簡単にエミリアちゃんの魔法で破れた。
……つまり、私は今エミリアちゃん以下の魔法しか使えないわけか……
フム……さて、と、どうするかな
……そうだ、私は新しい魔法が作れたんだ。
つまりー、精霊魔法も作れるというわけで、前世で読んだ本の知識を借りて……
よし!これなら使えるかな?
Let's try!…………なんちゃって😜
私は、エミリアちゃんの言い方に少しカチンってきたけどそこは大人だからスルーして……さっき考えた(正確には、前世の本の知識を借りた)魔法を放った。
と、エミリアちゃんは、少し驚いただけで防御魔法を使おうとしなかった。
それに、エミリアちゃんは、まだ気づいていなかった。
この勝負、私の勝ちだってことに……
さっき、魔法障壁を展開したときは、魔法に使う魔力が一気に無くなった感覚があったけど、この精霊魔法にはその感覚が無かった。
つまり、本来の威力のままエミリアちゃんに魔法が向かってるわけで…
いくら、水の精霊といっても、魔法をもろにくらったらダメージはありそうだし……
私は、放ってしまった罪滅ぼしのようにエミリアちゃんに魔法障壁を展開してあげた。と、同時にアクアカッターが私が展開した魔法障壁にあたって消えていった。
……か、間一髪、間に合ったー
それは、弟子達も思ったようで……
そして、当のエミリアちゃんはというと……ー
放心状態だった。
イリノちゃんは、私が教えたことの受け売りになるけど、しっかり教えを覚えててそれをエミリアちゃんに伝えた。
イリノちゃんは、私の答えにすごく落ち込んでいた。
私は、イリノちゃんが悲しそうにしていたからうっかりとあることを言ってしまった。
私がそういうと、エミリアちゃんは、少し考えたあとー
と、凄く恥ずかしそうに言ってくれた。
その顔が可愛くて、私はついエミリアちゃんを抱き締めてしまった。
こうして、私に可愛い子供ができたのでした。
マユカ、お願いだからフラグたてないでーーーー!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。