ある日、前の席の子から急にそんなことを言われた。
普通に仲良いけど、一緒に遊ぼうみたいな話にはならない子っているじゃん。その一人。
しかも最近話すようになった感じで、……正直、まだこの子に私の恋愛事情は話したくないというか……。
どうやってかわそうかと考えつつ微笑して口を開く。
……ん?なんだこの流れ。
私の机に頬杖をついてむくれている友達を見ながら、試しに聞いてみた。
見るからに動揺する友達。
……はーん。なるほど、今の話は実体験でしたか。
どうやら嫉妬は現在進行形のようだし。
ぎゅうっと後ろから抱きつかれて、肩に顎が乗ってくる。
も……もー、友達の前なのに!!なんか本気で怒れないのが悔しい……!!
はあぁと自分にため息をついていると、小さな声が聞こえた。
え、と聞き返すより先に、友達は黒板の方を向いてしまった。
……結構深刻っぽいな。なんか、大変だなぁ……。
ふと肩が軽くなっていることに気付いて、けれど腕は首元に回されたままなので不思議に思いながら遊を振り返った。
言われた通りに前を向く。
すると、後頭部あたりがなんだかふわふわする。
なんだろこれ……思えばさっきもこの感じあった。何してるの遊……。
なちが来たから挨拶しただけなのに、若干引いた顔で見られた。
え、怖い。
目を閉じる遊は当たり前のように言って、またあなたの髪に唇を寄せた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!