第6話

5
488
2019/09/30 09:37
友達
思ったけどさ、あなたちゃんって嫉妬とかするの?
ある日、前の席の子から急にそんなことを言われた。

普通に仲良いけど、一緒に遊ぼうみたいな話にはならない子っているじゃん。その一人。

しかも最近話すようになった感じで、……正直、まだこの子に私の恋愛事情は話したくないというか……。

どうやってかわそうかと考えつつ微笑して口を開く。
あなた

したことはないかな。遊あんなだし

友達
えーっ、すご!私だったら彼氏が誰か女子と話してたら妬いちゃうなぁー。だって彼氏にその気はなくても相手はあるかもしれないじゃん?
あなた

あー……確かにね

友達
ね!ほんとさ、こっちが妬かないとでも思ってるのかな。それか妬いて文句言ってくるのを待ってる?
あなた

わざと妬かせてる感じか。それちょっと嫌だね

友達
そうなの!!もう、絶対言ってやんない
……ん?なんだこの流れ。

私の机に頬杖をついてむくれている友達を見ながら、試しに聞いてみた。
あなた

彼氏いるの?

友達
!!え……
見るからに動揺する友達。

……はーん。なるほど、今の話は実体験でしたか。

どうやら嫉妬は現在進行形のようだし。
あなた

素直になってみていいんじゃない?じゃなきゃずっと嫉妬させられちゃうかもよ

友達
え、それは嫌だ!!……でも、さ。言いにくいよ
あなた

……そう?相手も嫉妬されたくてやってるんじゃないの?だったら……

友達
っ……だって、私ばっかり好きみたいで……
あなたー!!はよ!
ぎゅうっと後ろから抱きつかれて、肩に顎が乗ってくる。
なー、やっぱり朝も一緒行かねえ?俺全然あなたんちの方まで行くし
あなた

おはよ……だから、それはダメって言ってるでしょ!私の家、遊と方向全然違うんだから負担大きすぎるって!あと離れて!!

やー、分かってるけど、そういう優しいとこも好きだけどー……どんだけ負担でかくてもいいから俺は一緒に行きたい……あと離れない
も……もー、友達の前なのに!!なんか本気で怒れないのが悔しい……!!

はあぁと自分にため息をついていると、小さな声が聞こえた。
友達
……いいなぁ
え、と聞き返すより先に、友達は黒板の方を向いてしまった。

……結構深刻っぽいな。なんか、大変だなぁ……。


ふと肩が軽くなっていることに気付いて、けれど腕は首元に回されたままなので不思議に思いながら遊を振り返った。
あなた

遊、今何してた?

ん?何が?
あなた

いや、さっきまで肩に顔乗っけてきてたのがなくなってたから……

ああ、まー気にすんな。前向いてて
あなた

……?

言われた通りに前を向く。

すると、後頭部あたりがなんだかふわふわする。

なんだろこれ……思えばさっきもこの感じあった。何してるの遊……。
あなた

あ、おはよなち

なち
…………
なちが来たから挨拶しただけなのに、若干引いた顔で見られた。

え、怖い。




なち
……鷹羽くんって本当にあなたが好きだね
ああ、好きだよ
目を閉じる遊は当たり前のように言って、またあなたの髪に唇を寄せた。

プリ小説オーディオドラマ