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校内放送が流れて、私の背中から重みがなくなった。
私はまだ「赤い人」を見ていないから振り返ることができる。
一気に恐怖から解放された安心感からか、胸にこみ上げる何かに押し出されるように涙が溢れた。
倉庫から顔を出し、辺りを見回す廉。
血塗れの私を見て、驚いたと思いきや顔が赤くなった。
廉の言葉に慌ててスカートを直す。
結局二階の倉庫にカラダはなく、私達は見物席を歩いていた。
倉庫の反対側にある体育館用の放送室に行くために。
私は心配をかけないよう、
無理に笑ってみせた_____。
廉が言うと本当にしそうで怖い。
それでも優太に言うかどうか、答えは出なかった。
海人は人としてやってはいけないことをしたのだから。
体育館用の放送室にもカラダはなかった。
と、廉が放送室を出た時だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。