そんな足音が教室前の廊下から聞こえる
歌とペタペタという足音
それがこの教室の前で止まり聞こえなくなった
痛いほどの静寂に息も出来ずに震えていた時
校内放送が流れた。
そうか。「赤い人」は突然現れて突然消えるのか。
そう、私は理解した。
私は紫耀のことが気になって教室を出た
叫び声は階段の方から聞こえた。
紫耀が死んだなんて思いたくない。
でも、私が照らし出した階段の踊り場には…
ものすごい力で潰されたであろう上半身がその下半身の上に覆いかぶさるようにしてあった
私は再び教室へ戻って開けようとしていたロッカーへと歩を進めた
そして、ロッカーの前に立ちゆっくりとそれを開けた。
と、同時に私に倒れかかってくるモップ
思わず声をあげてしまった。
倒れたモップを拾い上げて戻そうとしたその時だった。
ポンっと、誰かが私の右肩に手を置いた。
肩に置かれたその手に私は恐怖した。
「赤い人」は工業棟にいるはずなのにもうここまできたの?
私は怖くて振り返ることができない。
もし赤い人を見てしまったらもう振り返ることができないから。
でも振り返らなくてもこの状況なら殺されてしまう。
その声はじんのものだった。
「紫耀がいなかったら俺死んでた」?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。