第27話
カラダ探し
どうせ死ぬなら放送室の中に誰がいるのか確認してから死ぬ!
私は握ったままのドアノブを回し、ドアを引いた。
しかし、そのドアは重く、まるで内側から誰かが引っ張っているかのように、少し開いてもすぐに閉じる。
叫びながらも必死にドアを引く。
そして、少し開いたドアの隙間から中を覗いた時、私は見た。
私が覗いたその隙間から誰かが覗いていたのだ。
気持ち悪くて、吐き気をもよおすような瞳。
慌ててドアノブから手を離したその時だった__。
歌の最後の一小節が唄われたのだ。
ギリギリと私を締め上げる「赤い人」の手。
「昨日」も味わったあの激痛…。
「赤い人」の腕が身体に食い込んで。
ドサッと私の上半身が床に落ちた。
薄れ行く意識の中で…はっきりと覚えている光景。
放送室のドアの隙間の向こうから覗く、不気味な目を…。
それだけが瞼の裏に焼き付いていて…その目に見つめられながら私は死んだ__。
あの不気味な目を私はどこかで見たことがある。
誰の目なのかと考えても答えは出ない。
でも、私の周りにいる誰かの目だ。
紫耀?廉?
それとも優太達?
遥の目かもしれないけど何か違う気がする。
そもそも、遥のカラダを探しているのに放送室に遥がいるはずがない。
ベッドの上で身体を横にして、ゆっくりと目を開いた。
あの後3人は、体育館を探し終える事ができたのだろうか?
こうして、また「昨日」に戻ったという事は、皆死んだのだろう。
そんな事を考えながら、私はゆっくりと身体を起こして、机の上の充電器に置かれている、携帯電話を確認する為に立ち上がった。
毎日毎日…「赤い人」に負わされた傷が、こうも痛むと、生きているのが嫌になる。
そして、机の方を向いた私が目にしたのは…
いつもの「昨日」なら充電器の上に置いてある携帯電話が机の上に直接置かれていたのだ。
期待しながら机に駆け寄り、急いで携帯電話を開いた___。