第4話

       導き
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2018/03/31 11:01


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入院している1ヶ月間、海斗は毎日のようにあずさに会いに行きました。

不安そうにする彼女に時おり話しかけます。

「あずさ……あずさは……覚えてないかもしれないけど、君は寝る前によく電話をしてきたんだよ。そ、それにね……」

これまでの記憶を思い出してもらえるように、いくつかの思い出話をします。

けれど、彼女は無機質な表情を浮かべるばかりです。

恋人の記憶がないあずさにとって、海斗は他人同然でした。

かつて瞳の中に満ち満ちていた光はなく、まるで恐れているような瞳を彼へ向けます。

にこにことして幸せそうだった事故に遭う前の彼女はいません。

そんな彼女を目の当たりにして彼は過酷な現実に苦しみます。

喪失感は計り知れません。

それでも、いつかは思い出してくれるかもしれない。

この想いが彼女の記憶の扉を開くかもしれない。

そう願って関わることをやめませんでした。

彼女が退院してからも声をかけます。

「あずさ。一緒に帰らないか」

「あずさ……」

海斗は懸命でした。

恋人のためにすべてを尽くす想いで、愛をそそぎます。




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