廊下を歩く彼の背中を見つめる
あぁ 私今まで彼の何を怖がっていたんだろう
私に謝罪をするためだけにわざわざ宮城にまできてくれて
それを彼は聞くだけで良いと言ってくれた。
それなのに私は許すとも、大丈夫とも言えなかった。
それがどれだけ彼に辛さを与えたのだろうか
どれだけ苦しかったのだろうか、
全部我慢して、笑って出ていくその背中は震えて今にも消えそうなくらいに小さかった。
怖いのは私じゃなくて黒尾の方だよね…
泣きたくても泣けないんだよね。
ごめんね、私が弱かったから、黒尾を傷つけた
咄嗟に目の前の彼を大声で呼んだ
それに、私が思い出した一番大切なことは_____
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黒尾side
『黒尾ッ…待って!』
今日謝って、許すと言われても言われなくても、もう二度と会わない、いや 会えないだろうと考えていた
なのに 呼ぶ声に振り返ると泣きそうなら顔で俺を見つめている
思い出した…?全部…良かった…っ
あぁでも思い出したからって俺がした事は変わんねぇしな…
…………
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あなたside
私が黒尾のことが好きだってこと。
背が高くて、バレーが上手くて、気遣いが上手ずで、一緒にいると楽しくて笑顔になれて、人をおちょくるのが上手くて、誰よりもチーム想いで、音駒の主将で、かっこいい。
そんな彼が大好きだ。
彼は真剣にしっかりと私の目を見据えて、そう伝えてくれた。
やっぱり、私の好きな、大好きな彼はかっこいい。
答えなきゃ、彼の伝えてくれた言葉に
嬉しさと、忘れてしまっていた悔しさと、彼への感謝と謝罪の気持ちが入り混じった涙を浮かべながら私は笑顔でそう答えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。