第41話

踏み出す勇気をくれたのは 。
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2022/07/17 13:39
あなた「________ゃ、」


山田「うわ、酷いなぁ。尻餅付くことないんじゃない?」








歯が立てるガチガチという音が、あの頃の感情を思い起こさせた。




足が震えて、立とうにも力が入らない。





山田先輩とはあの日、資料室での件以来会っていなかった。




そして今、状況は変わらない。







あの時の風景がフラッシュバックして、同時に視界が歪んだ。






嫌だ________








近付かないで、








お願いだから、もう……












あなた「〜ッ、こないで、」


山田「……。」


あなた「触らないで!!」


山田「お前、いつからそんな反抗的になったっけ。」


あなた「ッ、!」











目の前にしゃがみ、スッと伸びてきた手は。






私の首元に触れて、力を込める。












山田「今からでも俺のになるなら、烏野に戻れるようにしてやるよ。」


あなた「________、」


山田「また俺と、夕と龍とさ、皆で楽しくやろうぜ?今度は俺の……彼女としてさ。」


あなた「_______誰が、」










気持ち悪い。






どうして今も尚、私に固執するんだ。







もう、解放してほしい。








この人さえ……居なければ。










山田「な?また仲良くしような。」


あなた「________〜ッ大嫌い!!!!」











貴方なんて嫌い。




憎くて仕方がない。




顔を見るだけで吐き気がする。







そんな風に、今も尚縛られてしまっている自分が嫌い。




何度だって、消えてしまいたいと思った。





そのくらい、嫌い。










山田「"嫌い"……?なんで。」


あなた「、!」










復唱した山田先輩の目は、鋭く私を睨んで。




ガッと肩を掴まれて、その場に押さえつけられた。










山田「なんでだよ!!!俺はずっと、お前が好きって言ってただろう!?なんでこっち見てくれないんだよ!!お前は、お前だけは俺を分かってくれる!!!お前だけが俺の!!!」











違う。




私は貴方が大嫌いだ。





殺してやりたい程に憎らしい。










言ってやりたいのに、押さえつけられるその力の強さと恐怖に声が出ない。










山田「分かった……今ここで犯してやるよ。」


あなた「〜ッ、!!?」


山田「ちゃんと最後まですればよかったんだ。そしたらお前は、もう俺のものだもんな??」









合宿での、あの朝。




今でも思い出して、吐き気がして、死にたくなって。





男の人というものが、怖くて仕方がない。






力や孤爪くんや黒尾先輩に対して、あんな風にしてしまう。










山田「こっち見ろよ。」


あなた「____〜ッ、」











嫌だ。





もう嫌だ。








誰も、私を________、

























ふと、私を弄る心底気持ちの悪いその手から。







優しく、控えめに……不器用に撫でてくれた、孤爪くんの手を思い出して。




















あなた「___________けて、」



















自然に出ていた言葉に驚いて、そして瞬間、涙が溢れた。












"俺ら以外に誰がいる。"











あなた「…………………黒尾、先輩、」













"大丈夫。無責任にこんな事、言わないから。"













あなた「ッ、孤爪、くん……、」














あぁ。







そうだ。










あの時と変わらないと思っていたこの状況は。










あの時と、ほんの1つだけ________だけど、何より大きな、1つが違う。

















ずっと、ずっと口にできなかった言葉。

















あなた「_________"助けて"ぇ!!!」








































黒尾「やっと言えたな。」















固く、固く閉じたその目を開ける前に。







聞こえてきた音と、山田先輩のうめき声。











ボロボロと止まらない涙は、目の前の光景に助長される。







おそらく黒尾先輩に引き剥がされたのだろう尻餅をついている山田先輩と。





これでもかと言うほどに優しい顔で屈む、黒尾先輩。






そして、脱いだ上着を迷いなく私にかける孤爪くん。













山田「な"_______んだよ、テメェら!!」
















山田先輩の荒げた声も、怖いと思っていたはずなのに……霧が晴れたように不安は無くなっていて。












________そして





































西谷「________恵介、さん……?」


山田「…………ッ、お前らなんで、ここに……!」











何故かすぐそこまで来ていた彼らの、今まで信じてきていたものが全て。









壊れる音がした。

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