第73話

再会
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2023/11/27 12:00
あなた「き、今日はありがとうございました……!」


「「「あざぁぁっす!!!!」」」








練習が終わり、片付けを少し手伝わせてもらってから皆さんに頭を下げた。





バスケと同じで、高校ごとにプレーに色があって、面白い。




まぁ、高校バレーは音駒と烏野と……あと、以前練習試合していた梟?の高校のくらいしか見た事ないんだけど。









縁下「じゃー帰るか。」


田中「おい縁下!俺もあなたともっと話してぇ!」


西谷「お前だけズルいぞ!!」


縁下「はぁ!?」











荷物を持ってきた力と体育館を出ようとすると、もの凄い剣幕で突っかかってきた2人。





その後ろの方には、ウズウズした顔の日向くんと、ボーッとこっちを眺めている影山くん。







うぅ……いくらなんでも、こんなに大人数の男の人に囲まれたくない。








あなた「わっ、私、お母さんお迎え呼ぶよ!」


縁下「え、いや田中達断るから、2人で帰ろうよ。」


あなた「でも……、」


縁下「積もる話もあるし、今日全然2人で話せなかったから。」







まぁ……元々、力とご飯を食べに行こうとしていた日だったし。




その約束は果たさないと。









西谷くんや田中くんには、また次帰ってきた時に、とお願いした。




この2人のテンションはもう胸焼け……。









ショッキングな顔をした2人に謝ってから、清水先輩達にお礼を言って、体育館を後にした。






















縁下「あ、寄ってっていい?」










ラーメンを食べて、私の家の方に向かう途中。





スポーツ用品店を指差すので、私も色々と物色するのが趣味だし了承した。








力と話すのは、大分慣れてきた。







元々落ち着いている人で特に仲が良かったのもあるけど、力は色々と気を遣って、私と一定の距離を保ってくれようとしているのが分かる。






本当は、昔みたいに和気あいあいと出来たらいいんだけど……。











縁下「んー……サポーターどれがいいかな。」 


あなた「膝をしっかり保護したいならこっち、身軽に動きたいならこっち。ちなみに力のジャンプの癖からしてオススメはこっち。」


縁下「お、おう…………。」











私の指差した3つを手に取って、見比べている。





結局私がお勧めした物にするようで、他2つを棚へと戻す。









縁下「いやー着いてきてもらって正解だったわ、流石ドクター花野井あなたっ!」


あなた「ちょっと、馬鹿にしてない?」


縁下「してないしてn_________、」


?「________花野井、?」











____________、






茶化してきた力を軽く睨んでいると、反対側の隣に立った誰かに名を呼ばれた。






低くて、だけどどこか優しさを含んだ、声質が。














?「花野井…………あなた、か?」


縁下「あなた、知り合______〜ッ、青城の……?」


あなた「ぇ……………岩泉先輩、?」











彼が中学を卒業してからほとんど会ったことがなかったから、実に約三年ぶり。






記憶にある先輩よりずっと大きくなっていて、あの頃より低くなった声で、もう一度私の名を呼んだ。
















岩泉「あなた…………お前、東京行ったんじゃ、」















心底驚いたような顔をして、私と、力を交互に見る。





ん……?力も、知り合い……?









あ……そうだ、岩泉先輩ってバレー部だった。





もしかして繋がりがあるんだろうか。











あなた「きっ、帰省してて!今、丁度……!」











上擦った声に、後ろの力からの視線を感じる。










岩泉「…………彼氏、か?」


あなた「ちがっ……!友達、です。」


縁下「…………あなた、平気なのか?」


あなた「え?」











思いっきり首を振って否定した私を、心配そうな顔で覗き込んできた力。





初めは何のことだか分からなくて首を傾げたけど、ようやく"男の人なのに"大丈夫か、ということだと理解した。










大丈夫だと頷くと、安心したように息を吐く。












縁下「じゃあ俺、レジ行ってるから。話してなよ。」


あなた「えあ、うん…………。」












力は岩泉先輩に頭を下げ、その場を立ち去る。





大丈夫だ、と言ったのは、何も強がりとかではなく。







いつの間にか隣に立っていたこの人に、何の嫌悪感も抱かなかった。











岩泉「影山から、お前が烏野から転校してったらしいって聞いて……お前、何も言わずに……。」


あなた「だ、だって私、先輩が中学卒業してからほとんど話してなかったし……部活も、忙しそうで、」


岩泉「だからって…………はぁ、とりあえず、いつまでこっち居んだ?」


あなた「明日の夕方には、向こうに……。」









先輩は首の後ろをかくと、困った顔をして外に視線を向けた。




もうすっかり辺りは暗い。












岩泉「……よし。」


あなた「?」


岩泉「さっきのやつ、烏野のバレー部だよな?家近いのか?」


あなた「……ぃや、むしろ逆方向ですけど、」











丁度噂をすれば、力が戻ってきた。




岩泉先輩の視線に気が付き、首を傾げる。










岩泉「なぁ、あなたのこと、俺が送っていっていいか?家近いから。」


縁下「え?」


あなた「え!?」











トンデモ発言に背の高い先輩の顔を見上げた瞬間、首からピキッと音が立ち痛めてしまった。




なにやってんだ私…………。












岩泉「色々、話してぇんだけど……ダメか?」


縁下「あ、俺は……あなたが良いなら、」


あなた「え。」










突然判断を委ねられ、痛めた首をさすりながら考える。






力は明日も午前から練習らしいし、話したいことはほとんどラーメン屋で話した。







あとは家まで送ってもらうだけだし、力としてもこの申し出はありがたいんじゃないだろうか。






力は多分、私が不安じゃないかと心配してくれているんだ。











あなた「私は、大丈夫っ。今日はありがとう、力。」


縁下「…………そっか、分かった。また次帰ってくる時、ちゃんと言えよ?」


あなた「うん。」











お店を出て力とお別れし、岩泉先輩と2人きりに。







色々話を……って言ってたけど、何を話すんだろうか。








何も言わずにいなくなった事、言及されたら困るんだけど……。














岩泉「……晩飯食ったか?」


あなた「え…………はい、さっきラーメンを、」


岩泉「あー、そっか……なんか食いながら話そうと思ったけど、それなら無理だな。」










グゥゥゥゥ、











岩泉「…………。」


あなた「…………お腹、空いてるんですね、」


岩泉「気にすんな。」











お腹をさすり、その強面の顔をふっと緩めた。







あ…………懐かしい顔。











あなた「…………あのっ、ラーメン、行きましょう!」


岩泉「は?いや、お前食ったんだろ?」


あなた「替え玉は無理だけど大盛りくらいならいけます。」


岩泉「________ぷはっ、」










ポンポンと自身のお腹を叩いて見せると、その白い歯を見せて盛大に笑った。





ガタイは大きくなったけれど、目尻の皺とか、無邪気な笑顔は昔のままで。













岩泉「忘れてたっ、お前の大食い!!」















「なら、行くか!」とニカッと笑うので、私も同じように笑って見せる。







不思議と、怖さなんて微塵も感じなかった。

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