第47話

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2022/09/03 12:00
黒尾「非力だな〜。」


孤爪「大体、体育祭に握力とかどう関係してる訳。」







ごもっとも。



ボタンを押してリセットして、グググッと手に力を込めた。






えぇと、右が……。









夜久「花野井さん、どうだった?」


あなた「え?あ、ちょ________、」









手に持った計測器を覗き込まれて、思わず隠した。





ただ、数値は見えてしまっていたようで……。











夜久「30あんじゃん、研磨と大して変わんねぇ!」


黒尾「おい研磨ぁ、お前大丈夫かよっ!」


孤爪「…………。」


あなた「ひっ、左は……!左手は30ないし、」


夜久「あ、ほんとだ。って今更非力アピールすんなって。」









握力ひとつでわちゃわちゃ盛り上がって、とりあえずと黒尾先輩に計測器を渡した。




あんまり目立ちたくないし、どこか別の場所に移ろう。










黒尾「花野井さん、花野井さん。」


あなた「は……はい?」











黒尾先輩は楽しそうに目を細めて、計測器を指差した。



私がこの場を離れたがっているのを分かって、わざと引き留めているかのように……。














黒尾「俺、何キロいくでしょう?」


あなた「え…………っと、50とか……?」


黒尾「じゃ、それより上だったらアイス奢りね。」


あなた「え?」











それなら言い直そうと止めようとしたけど、既に計測は終わっていた。







【60.35】







い、イカつい……。




したら顔で笑って、「ご馳走様〜。」と煽り口調。






誰も奢るなんて言ってない……。










あなた「ず、ズルいですよその戦法……!」


黒尾「なんで??花野井さんは俺が50くらいの男だと思ったんだよね?」


あなた「お、思ってないです……!」


黒尾「へぇ?じゃあ俺の質問には適当に答えたんだ?」


あなた「そういう訳じゃ________、」


赤司「何々、楽しそうだね?」


あなた「どこが……〜ッ、!?」










ナチュラルに割り込んできた声に反応して、すぐに後悔した。





どうして赤司先輩がここに……?










ふと周りを見てみると、さっきまで向こうで騒いでいた女の子たちももう握力のコーナーの周りに集まってきている。





黒尾先輩と赤司先輩が居たんじゃ、仕方ない。







エミリ達と目があって、心底羨ましそうな目を向けられた。









赤司「花野井さん、黒尾と仲良くなったんだ。」


あなた「え、仲良くって…………、」


黒尾「まぁ、花野井さんはウチのマネージャーなんで〜。」


夜久「今は違うけどなっ。」


赤司「え、男バレ入るの?」


あなた「や、ゴールデンウィークだけ……。」


赤司「ふぅん……?じゃあ今フリー?サッカー部来ない?」


あなた「え"、」











爽やかな笑顔で微笑まれて、その声が聞こえていたらしい女の子たちの不審がる声が聞こえてきた。






まずい……。








大体、何でこの人私なんかに構うんだ。





もっと他に構って欲しそうな女の子がいるはずなのに……。











"興味ない感じがいいんじゃん!"












中学時代の、とあるチャラ男先輩の姿と重なった。





あぁ……私が怖がってたから、興味持ったってことなのかな。







何で裏目に出るんだろうか。










あなた「あ、私エミリ達のとこ戻らないと……、」


赤司「え、もう行っちゃうの?もしかして俺のせい?」


あなた「まさかっ。」










これ以上絡まれても困るし、黒尾先輩達に頭を下げてその場から脱した。







ただ、やっぱり合宿を終えて今までと違う、あまり抵抗なく赤司先輩達と話せていることに驚いた。






怖さが全くなくなったかと言われるとそうじゃないけど……。











エミリ「あなた!やっぱり赤司先輩と仲良いんじゃん!」


あなた「や、あれはたまたま……、」


ユウヒ「それに、黒尾先輩だよね?バレー部で仲良くなったの!?」


あなた「な、仲良くって言うか……。」









音駒で目立っているあの2人と話していたとなると……やっぱりこうなる。






なんであの子が……って、妬まれてしまう。






私と話してて何か楽しいのかな?あの2人は。








やっぱり私は、孤爪くんと話してるのが気が楽……かも。


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