第2話

友情
302
2021/06/15 13:57
-孤爪side-



俺達は今日部活だった
部活中に急に凄い酷い耳鳴りと頭痛がして
部員皆気絶した

目を覚ましたら俺達がいた体育館じゃなかった

体育館ではあるけど、俺たちが使っていた体育館ではない
困惑していると、クロが急に立ち上がり辺りを見渡す

「…なにクロどうしたの」

俺がクロにそう聞くとクロは床に落ちていたバレーボールを持ち上げた
そして、クロは困惑した部員全員の方を向いて持っていたバレーボールを見せつけてこう言った

黒尾「おい これうちのボールじゃねぇぞ」

と。
当たり前じゃん
だってここ音駒の体育館じゃないし、逆に音駒のバレーボールあったら怖いよ
そう思っていたら、隣にいたリエーフが口を開いて言う

灰羽「当たり前じゃないですか!!黒尾さん!!
ついに俺より頭がおかしくなったんですか?!」

その言葉を聞いたクロは違ぇよ!と言い
右手でバレーボールを持ち左手でそのバレーボールを指さす。そして口を開く

黒尾「『烏野高校』って書いてある」

クロの言葉を聞きバレーボールをよく見る
そこにはクロの言った通り『烏野高校』と書いてあった
じゃあ…ここって烏野高校…?

俺は取り敢えず今の状況が不自然に感じたから携帯を開いた





開いた見たものの県外で連絡手段は無かった

「……何この時間…画面も…」

思わずそう呟いた
携帯の画面には時間が表示されている
だがそこに表示されている時間は、俺達が部活をしていた時間では無かった
文字化けをしていたのだ
それに加えて、ホーム画面も変わっている
翔陽との写真だったのに、そこに映っていたのは
小さな白い花弁の中央に赤色が混じった花だった
この花の名前も知らないし、この画像をホーム画面にした覚えも一切なかった

クロがやったのかと思い、ボールを見つめて不思議そうにしているクロに

「クロ…このホーム画面にしたのクロでしょ」

と問いかける。俺が見せた画面を見てクロが自分の携帯を開いて俺に見せた
そしてクロはこう言う

黒尾「俺やってねぇぞそれ。てか俺のホーム画面も変な事になってるんだよねぇ…花…なんだけど、研磨と違う花なんだよ」

クロが見せてきた画面に映るのは、
薄い紫色をした小さな花。
俺は別に花に詳しいわけじゃないから、その花の名前も検討が付かなかった。
それより、唯一持っている携帯で連絡が取れないのはマズイ
この状況どうするべきかと頭を抱えていると、福永が
俺に声をかけてきた

福永「…ねぇ烏野ちゃんねるって知ってる?」

烏野ちゃんねる?
…聞いたことはあるけど、興味なかったからやった事ないな…

「聞いたことはあるけど…」
福永の問いかけにそう答えると福永はまた話を続ける

福永「一応烏野ちゃんねるってのやってスレッド立ててみて 烏野ちゃんねるってどんな世界にいても唯一繋がる場所って聞いたことある」

福永はそう言う

そんな都合のいいものがあるの?
半信半疑で文字化けしている携帯を開き烏野ちゃんねると言うものを開いてみた

そしたら、なんとそこだけ文字化けをしていなかった

「……え」

俺が思わずそう呟くとクロがそれに気付いて「どうした?」と問いかける

「…福永が烏野ちゃんねるってのなら使えるかもって言うから一か八かで開いてみたら本当に使えた…」

と問いかけてきたクロにそう答える

黒尾「はぁ?!ちょっまっ…マジじゃん!福永おまっナイス!!俺も開いてみよ〜っと」

クロは嬉しそうにしながら、自分の携帯で烏野ちゃんねるを開く
そして暫くして話し合い、この烏野ちゃんねるでスレッドを立てて今の状況どうするべきかをスレ民に聞いみたりして、脱出すると話になった

俺とクロが携帯の画面で悩んでいる時に、他の人たちは今の状況に不信感を抱いて周辺を見たり、なんでこんな事になったのかと話し合いをしていたらしい。
話し合いの結果ここは異界…いわゆる異世界なのでは?となったらしい。

俺達の携帯がおかしなことになっているのに加え、
今部活中のはずの烏野高校の体育館に居るし
目を覚ます前の事を考えてみたら、明らかに不自然すぎるってなったらしい。
そう言われると確かに、ここは烏野の体育館なのに烏野生徒は誰一人居ないし、なのに数個のバレーボールが床に落ちてるし、確かに可笑しい

そう思った俺は急いでスレッドを立てた

今の状況を一通りスレ民に話すと、釣りとか言う人は居なくてみんな協力的だった。
一応、外には出ずにここに居て何か起こるのを待とうという事になって、体育館の周辺を探していた時、1人のスレ民が俺達と同じような状況になってる奴を見つけたと報告してくれた。

URLを貼ってくれたので、そこまで飛んでスペックや経緯、コテハンを見たらそれは嫌になるほど見覚えがある人達だった


烏野高校のバレー部員達だった


そして烏野の主将、副主将、2年の縁下だっけな…後、月島って人が携帯を持っているらしくその時間が俺達とは全く違ったらしい
俺達は文字化けでホーム画面が花に変わってるだけだけど
あっちは、おかしな数字になっているらしい
それを見かねた、スレ民の解読係がその時間の意味を解読してたら、意味がわかったらしい

01:06→0106→待ってる

81:81→8181→バイバイ

96:41→9641→苦しい

33:41→3341→寂しい


なにこれ
幽霊…?
烏野なんか幽霊に恨みでも買ったのかな?
そう思ってたら、烏野のコテハンの人達がザワザワしてた

あ…わかった

翔陽


翔陽なんだね



俺は咄嗟にスレッドに「日のこと?」と書き込んでしまった

クロは大慌てするけど…俺は翔陽の事を信じなかったこいつらが許せない
翔陽の1番近くにいたのはこいつらのはずなのに……
烏野のはずなのに…


その後、クロも仕方ねぇなと言ってコテハン無しでスレッドに書き込んだ

その後、誰だよの質問攻めされたから、仕方なくコテハンつけて経緯を話した

その後、場所の写真が欲しいって言うから、体育館のステージに乗って全体の写真を撮る。
その後、スレッドに送り付けたら、霊感ありって人が大慌てした。
この場から逃げようとした瞬間、地震…?とは違うけど、強く揺れた感覚がした。

みんなが体勢を崩した瞬間揺れが治まった
ふと、ステージ上を見るとそこには1輪の花が添えられていた

「また…花?」

黒尾「ここの主サン花好きだねぇ」
と俺とクロがそう言い花に近づく時、リエーフが「うわぁつ!」と大きな声をだす

その声に驚いて、みんながリエーフの方に目線をやる
リエーフは尻もちをついていた
そのリエーフの前にあるのは、破裂したようなバレーボールだった

夜久「リエーフ!他の高校のバレーボール壊すとか何してんだよ!!」
とリエーフに駆けつける夜久さん

リエーフは顔をポカーンとさせたまま口を開く

灰羽「その目の前のバレーボール持ち上げた瞬間、急に破裂したんですよ!て言うか俺バレーボール破裂させるような力ないです!!」
と夜久さんに言う

夜久さんは「…確かに」と言い納得する
バレーボールが破裂するのは不自然だなぁと思っていたら、スレッドの事を思い出し急いでスレッドを見た

そこには、沢山の無言送信と文字化けしたメッセージとよく分からない暗号のようなものが書いてあった

皆は「やっと打てた」みたいな事を言ってて暫く打てなかったのかな?と思った。
ただのバグにしては可笑しいなとは感じた。
しかも送り主のIDがないらしい。霊的な何かなのかなと思った

そう思っていたら、スレ民が俺達の無事を心配してたので急いでスレッドに経緯を書き込んだ
そしたら花屋と名乗る人がその花を見せてくれと言ってきた
クロが「それなら俺がやるわ」と言いスペックを書き溜めて、花の写真をとって送った

花屋の人は、その花を知ってるらしくて名前と花言葉を教えてくれた
名前はニチニソウ

花言葉は………『楽しい思い出』

烏野の体育館
それにある楽しい思い出は多分バレー

翔陽…なの?

翔陽が置いた花なの?
翔陽ここにいるの??

ねぇ…教えて…

スレッドを見たら、烏野の人達が慌ててた。
俺はその姿が許せなくて

「ねぇ…烏高のみんな
心当たりあるんじゃないの?」

と圧をかけながらスレッドに書込む
だけど、誰も返事はしなくてやっと返事をしたと思ったら
知りません

信じられない本当に
誰が翔陽を苦しめたの?
翔陽があんなになるまで追い詰めたのは誰なの?

俺はどうしても許せなくて、スレッドで烏野の方に問い詰めた
クロ達に必死に止められたから、あんまり深くは問い詰めれなかった。
けど、その時スレ民の人が俺と翔陽の関係について聞いてきた
勿論俺達は友達だったから友達と答えた
その瞬間、何処からか聞き覚えのある声が聞こえた

「研磨。俺の事信じてくれてありがとう。
俺と友達で居てくれてありがとう。
巻き込んでごめんね…俺の力じゃ制御できないんだ
頑張って皆の事守るからさ
研磨……ありがとう…ごめんね」

そう言葉を残してその声は聞こえなくなった
あれは紛れもない翔陽の声
あぁ…翔陽はここに居るのか
俺はずっと翔陽の友達だよ
何があっても俺は翔陽を信じる
ねぇだからさ…
俺を翔陽の所まで連れてってよ
翔陽と同じ所に行かせて…
お願い


気付いたら俺は涙を流していた
クロ達はそんな俺を見て大慌てする

俺は、スレッドに「俺はここから出たくない」と書き込んだ
もちろんクロや烏野の人達は俺を止めようとする

俺はスレッドに烏野に向けて一言言った後、クロ達の方を向いてこう一言吐いた

「ここの異界を作ったのは多分翔陽。
だから俺はここからは出ない。
俺は翔陽と一緒にいるんだ」

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