第10話

8.
7,009
2021/04/04 15:52





結局言えずに今日が終わろうとしていく


荷物を片付け、着替えも済ます、


こんな普通な一日でも


あと何回あるかわからない、


せめてマネージャーぐらいには言った方がいいのかな、


まだ実感なんて微塵もなくて


でも、何故か全然違う気はする


してることは同じなのに


自分だけが違う誰かみたいな、


ほんとに私は1年後ここにいないのだろうか、


考え出したらキリがないけど


そう言うことだから、


死、というゴールがあるのは確実なのだ


リュックを背負い、


「じゃあお先に」なんて言おうとした瞬間に


腕を掴まれる



北斗「今日あなたの家行ってい?」



唐突すぎて、


前置きや理由を知らないのだろうか、



樹「え?!ずりぃ!!俺も行く!」

『いや、まだいいって、』



いや、いいけど、


いや、でも急すぎるし、


いや、でも、どうしよ、


頭の中で葛藤してる間に北斗に肩を組まれる



北斗「ほら、行くぞ」

『いや、行くの私の家だからね?』

北斗「はいはい」



さっきまでだらけてたクセに


嘘みたいな速さで荷物をまとめるみんな



慎太郎「あなた、」



大男6人に囲まれながら


廊下を歩く途中で慎太郎が私の名前を呼ぶ



『ん?』



振り返った私の頭に


ぽん、と手を乗せて



慎太郎「なんか悩んでることがあんなら今日言えよ」



そんならしくないセリフだけ言って


にか、っと笑う



ジェシー「そうだよ、悩み事とか言った方がいいよ」

優吾「ジェシー悩み事とかなさそう」

ジェシー「あるわ!!」

大我「あるんだ」

ジェシー「ひでえ!!」

北斗「そう見えるのは事実だよ」

樹「でもさぁ、最近ほんとになんかあったろ?」



慎太郎につられてワイワイ話し始めるみんな


そんな中で樹にそんなことを言われる


雑だけど、不器用な優しさがあって、


樹の目を見た後、誤魔化すように笑って



『何もないよっ、』



と返す、


もしも、死ぬって言ったらどうしますか?


信じてくれますか?


ごめんね、って言ったら許してくれますか?


この空間がいつか消えることが嫌でたまりません


いつもはうるさいなんて思う笑い声を


しっかりと覚えておこうと思った、


こんなことするのなんて初めてだ


ほんとに死ぬんだ、


もうすぐしたらお別れなんだ、










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