第29話

27.
5,615
2021/04/30 15:41





活動休止の発表の日


滝沢くんと話し合って日にちを決め


きちんと世に報告することになった


でも、余命1年だってことは言わない


ファンを悲しませるのは


アイドルとしてしたくなかった


活動休止という形で


ジャニーズ人生の幕をそっと閉じる


もう二度と開くことの無い幕を、


メンバー全員が集まった私の家のリビング


朝早くから押しかけてきてから


帰る気配なんて全くない


でも、今日は一緒にいて欲しいのも事実だった


7人もいるのに、


誰も一言も喋らない


みんな視線はスマホ画面の記事だった


気だるげにため息をつき


机の上にスマホを置いたかと思いきや


私のとこまで来て抱きしめてくる樹



「なに、どーした、?」

樹「こうしたい気分」



そんなことを言う樹に


自然と頬が緩んでいた



ジェシー「ずりぃ」

大我「ジェシーもそんなこと言うんだ」

ジェシー「いや、別にそうゆう訳じゃないけどさぁ、」



寂しがり屋集団なのか、


子供のように口をとがらせるジェシーが


可愛く見えてきて



「ジェシー、」



と言って手を広げれば


何も言わずに抱きついてくる



大我「俺も、」



気づけば大男6人に潰されそうなぐらい抱きしめられていた



慎太郎「これ現実なんだよね、」

「そうだよ」

慎太郎「知ってたけどさ、知ってたけど、やっぱり辛いね」



そう言って笑った慎太郎の顔も


やっばりどこか悲しそうだった


ほんの少しだけ目を潤ませる慎太郎に


心臓がキュッと痛くなる


ごめんね、心の中でもう一度謝って


らしくない大男6人の中に埋まる



「これからのSixTONESもよろしくね」

樹「お前もいねぇとSixTONESじゃないから」

「そんな嬉しいこと言わないでよ」



相変わらずそんなことを言ってくれる樹に


なんとも言えない気持ちになる


朝、スマホを見れば


もう既にネットニュースには


成宮あなたと活動休止なんて言葉が溢れていた


そんな記事を見つめては


他人事のように思いたくなってしまう


少しずつ現実を受け入れてはいるものの


やっぱり避けていた自分がいたのだ


大好きな6人に囲まれて


私が死ぬだけでこんなに悲しい顔をしてくれて


死にたくないなぁ


なんて思ってしまう私はわがままなんだろうか、























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