第33話

31.
5,518
2021/05/05 15:56





ピンポン、と音が鳴る



樹「俺出るわ」



そう言って立ち上がり


玄関の方へ行ったかと思えば


すぐにドカドカと足音が聞こえる



「翔太、ごめん、本当は言おうとっ、、!」



何度も頭の中で練習した言葉を


言おうとした瞬間、


一瞬で視界が真っ暗になる



「え、、ちょっ、」



シナリオには無い展開に、


少し戸惑う、


なんで抱きしめられてる?


怒ってるんじゃないの?


なんで?って聞かれるからそのための言葉も、


何回も練習したのに、


なんて考えていれば


スっ、と体が離れる



翔太「なんだよ、元気そうじゃん」



ニコッ、と笑ったあと


また頭を撫でられる



翔太「泣いてると思ったのに、」

「え、?なんで?」



遠回しに見透かされたような気がして


そう聞き返せば



翔太「声、」



なんて言ってカバンを床に置く


そんな彼に戸惑ったまま、


言わなきゃいけないことを思い出す、



「翔太、」

翔太「言っとくけど、俺お前の活動休止理由聞きに来たわけじゃねぇから」



ちゃんと言わなきゃいけないし、


いつか言う日が来る、


大切な人だからこそ、


きちんと自分の口から伝えなきゃいけない気がした



「ちゃんと話したい。」

翔太「なに、どこも怪我してねぇじゃん、」

「違う、そうじゃなくてっ、」

翔太「怒ってないと思った?」



そんなことを言い出す翔太と目が合う


やっぱり、そうだよね、



翔太「なんで俺になんも言わないの?一言ぐらいあってもいいだろ、」

北斗「翔太っ、」

翔太「だっておかしいでしょっ、そんな仲なの?俺らって、」

北斗「翔太ってば、」



北斗がなだめてくれても、


何故か怖くて怖くてたまらなかった


だけど、きっと、


この恐怖心は翔太に対するものではないんだ





















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