第63話

61.
4,537
2021/06/13 19:17





気づけばみんな私の部屋に集合してた



ジェシー「来ちゃった」

慎太郎「来ちゃった」

「何となくわかってたよ」



ディナーの時間まで何をしようか、


旅行に来ても、この光景は変わらないんだな


そう思いながら


いつも通りのみんなを眺める


そんな私の横でシャッター音が響く



「撮った?」

大我「うん」



それからスマホ画面を私に向ける



大我「いいでしょ」



自慢げに笑う彼に


うん、と返す。



大我「人が死んだらね、嫌でも自然と声も顔も忘れていくんだって、」



そんな言葉に彼の方を見る


それなら、私のことも忘れていくのだろうか



「やだ、」



小さすぎるほどか細い声が出る


それからすぐに抱きしめられる


なにそれ、



大我「でも、俺は絶対忘れない。自信あるもん。」



耳元でそう声がする



大我「仕草も、笑い方も、全部覚えてる。ずっと。」

「きょも」

大我「だからさ、そんな悲しそうな顔しないで」



本物の王子様みたいな、


どこかの夢物語のようなセリフ、


でも、嬉しかった


そんなありがちな言葉が


キラキラした言葉が


1番欲しかったのかもしれない



「約束ね、」

大我「うん。」



それから、あなたはいつもそうだ


これだから、


死にたく無くなるようなことを言う。


生きがいがあると寿命がほんとに伸びる


なんて話を聞いたことがある


これを生きがいにしてもいいのだろうか、


みんながいるから。


なんて、こんな理由でもいいのだろうか、


やり残したことなんて山ほどある


だけど、私が今1番生きたいと思える理由は


この6人がいることだった



「きょもずるいよ」

大我「知ってるっ」

「ばか」



いつまで抱きついてんだよ、なんて声が聞こえて


そっと体が離れる


顔をあげればみんな私たちを見てる


なんだから恥ずかしくなるのと同時に


まだ生きてる、なんて思えてくるのだった


大好きな6人から愛されていて、


今、確かにここにいるのだ。


きょもの体温も、きちんと伝わっていた


私はまだ生きてる、


そう思うんだ。


























プリ小説オーディオドラマ