第60話

58.
4,669
2021/06/09 14:56





はしゃいで、


騒いで、


笑って、怒って、泣いて、


体力を全て使い切る勢いで楽しんだ


だってこれが最後だから、


どれだけ願ったって、


時は進んでいく。


それが嫌で嫌で、終わって欲しくなくて、


そんなこと忘れるかのように笑い飛ばした



「ね!あそこ行きたい!!!」



指をさして


子供みたいに飛び跳ねる


今日ぐらいはいいだろう、


今日ぐらいは、自分にも、みんなにも、


少しは甘えてもいい気がした



「、、!」

北斗「あっぶな、」



なんて思ったのもつかの間


グイッ、と北斗に腕を掴まれて


引き寄せられる


はしゃぎすぎたせいか、


知らない人にぶつかるところだった



北斗「ヒヤヒヤさせんな」

「ごめん、」

慎太郎「離れないように誰かと縛っといたら?」

大我「こーち、出番」

優吾「俺かよ」



ほんとに縛られそうになる前に


樹の後ろへと逃げた



樹「とりあえずちょこまかすんの禁止な」

ジェシー「そうだよ、ただでさえちっちゃいのに」

「ジェシー嫌い」



樹の後ろからそう言って口をふくらませてみせれば


そんな私を見てケラケラと笑う


いつの間にかみんなに笑われいて


なんだか納得いかない



「ちっちゃくていいもん」

大我「開き直ったな」



そもそもこんな高身長グループに


入っていること自体謎だ


みんな高すぎる


いっつも見上げてばっかで、


もう少ししたら届かないぐらい上にいるんだからな


そう思いながらまた歩き始める


後ろから聞こえる笑い声はやっぱり心地よくて


もう聞けなくなるんだな、


なんてこともやっぱり考えてしまう


ぎゅっ、と手を握られたせいで


涙が拭けなかった


ゆっくりと頬を伝っていく涙が


音も立てず地面に落ちていく


誰も気づいていないことだけを願いながら



























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