優吾「ゆっくりでいいからね」
隣にいるこーちに合わせて
ゆっくりと深呼吸をする
楽しむのはいいけどその先を考えていなかった
立ち止まった瞬間
汗が止まらなくなって、息がしずらい
こうなることはわかってたのに
調子に乗ったことを後悔する
どれだけ息を吸い込んでも
上手く酸素が吸えない
焦れば焦るほどパニックになる
慎太郎「ゆっくりね、ゆっくり」
そんな私の背中をトン、トン、と叩いてくれる
何とか落ち着いてきたかな、なんて思えば
水を買いに行ってくれてた北斗が帰ってくる
北斗「だからはしゃぎすぎんなって言っただろ
」
蓋を開けてから渡された水を
喉に流し込んだ
無事に飲み込み
もう一度深呼吸をした後
顔をあげれば
心配したような顔をするみんな
ジェシー「大丈夫?」
「うん!もう大丈夫!」
樹「お前一人でいる時になったらどうしてんの?」
そこは触れないで欲しかった、
でも今更誤魔化すのもどうなんだろうか
「何とかしてるよ」
それでも、結局出た答えはこれだった
樹「なにそれ、結局無理してんじゃん」
「してないって」
樹「してんじゃん」
「やめよ。」
そう言って樹の言葉を途中で遮る
「いいの、どうせこれからはこんなことないんだから」
無理やり樹の手をとった
樹「お前ほんとずるいわ」
「なにがっ」
樹「自分ばっかり強がって」
「そんなことないよ」
振り返ってニコ、っと笑って見せれば
もう何も返してこない
やっぱり誤魔化してる
そんな自分に呆れてしまったりするのだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。