第51話

49.
4,892
2021/05/27 15:06





目が覚めたら、


真っ白な部屋の中だった。


なんでこんなところにいるんだろう


体に繋がれた管を見て、


思い出す。


倒れたんだ、。


急に息が苦しくなって、


呼吸が出来なくなって、


ああ、そうだ、それから、


あの時、メンバーに電話をしようとしたんだ


助けて、って、


怖い。死にたくない。って、


でも、出来なかった。


きっと、心配するから、迷惑かけるから


電話の向こうで私を呼ぶ声を想像しては、


耐えられなくなって、やめた。


もう消えていきそうな意識を、


何とかつなぎとめて、電話をかけた、


どこにかけたかは、覚えていない。


メンバーでは無いのは確かだ、


でも、いま、ここにいて、生きてるってことは


きっと、私のことを知ってる誰かだったんだろう


あの瞬間を思い出しては、


また怖くなる。


本当に死ぬのだ。


いや、もうわかっている。


覚悟は出来てるし、自覚だってしてる。


苦しいぐらいに、


それでも、怖い。


次は、もうそれが最後かもしれない。


1年、って言われたって早まることなんて


全然ありえるだろうし、


その時、そばに誰もいなかったら、


今日みたいに、誰もいない中で死んでいったら、


怖いことが次から次へと溢れ出てくる


こんなことなら、いっその事死んでおけばよかった


あのまま、誰にも言わずに、


電話なんてかけずに、


だけど、そんな勇気がないから


今、まだこうやって息をしているんだろう


ピ、ピ、ピ、なんて、機械音が鳴り響く部屋で


ドアが空いたかと思えば


白衣を着た人が入ってくる



医師「目、冷めましたね」

「はい、」

医師「もう少し安静にしていてください。また時間が経ってからお話致します。」



神なのか、


ましてや、悪魔なのか、


分からないような笑顔でそう言って


部屋を出ていった。


お話か、ないわけないよね、


大きな窓から見える


遠くにいる人影がものすごく小さく見える


きっと、今、この瞬間、


誰よりも私が天国に近い場所にいると思った




















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