第30話

28.
5,525
2021/05/01 23:02





成宮あなたの活動休止記事を


ゆっくりとスクロールする


他人事のようで


自分のことなのだ。


不思議な気分だ


ファンの子たちのコメントを読む度に


胸が痛む


自分は想像以上に愛されているのかもしれない


愛されている分


自覚を持っていないとダメなのに


こんなにも軽々と裏切っていいのだろうか、


早く帰ってきてね、なんてコメントに


やるせない気持ちになる


死んだって知ったらどうなるだろうか


きっといつかバレるし、


私が死んだら事務所から伝えられるかもしれない


どうなるかは分からないけど


そんな人たちを傷つけることが


たまらなく嫌だった


そんな時だった


持っているスマホが急に振動し始める


画面には「翔太」の文字があった


どくん、と心臓が鳴る


呼吸が乱れそうになるのを


必死に落ち着かせた



樹「誰?」



樹の方へ画面を向ければ


何も言わずに横に来てくれる



樹「俺が出ようか、?」



このことを知ってるのは


SixTONESと、マネージャーと、滝沢くんだけだ


活動休止をすることも、


ましてや死ぬなんてことも何も知らない


記事を見て活動休止することを知ったんだろう


死ぬから、なんて理由があることも知らずに、



大我「あなた、?」



きょもの声にハッと我に返る



「あ、うん」



そして、そっと通話ボタンを押した


少しの雑音が流れたあと



___翔太「今どこ」



なんて、言葉だけが聞こえる



「仕事中でしょ、終わったらまた」

___翔太「どこかって聞いてんだよ」



私の言葉を遮るように


そういう翔太



「家、」

___翔太「、わかった。すぐ行く。」



そんなことを言ったかと思いきや


ブチッと、電話が切られる


電話が切られてもその場で固まったままだった


どうするのが正解なのだろうか


どの選択を選んでも


大切な人をまた1人、


悲しませることになるのだ

























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