第32話

30.
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2021/05/02 12:51





スマホをそっと机の上に置く



樹「お前翔太にも言ってなかったの?」

「うん」



事務所に入ったばっかの頃から


可愛がってくれて、


兄弟みたいな、親友みたいな、


でも、言えなかった


だから、言えなかった



「言えないよ、そんなん」

北斗「今から来るって?」



わかってるかのようにそう聞いてくる北斗に


うん、とだけ返す



ジェシー「来たら言うの?」

「わかんない」

優吾「俺らから言おうか?」



何も言えなかった、


きっと怒ってる


なんで、なんて聞いてきて


なんで言わなかったのかも聞かれるんだろう


そんな翔太に


死ぬからだよ、なんてし言える自信がなかった


それでも私は強がる、


笑っているって決めたから



「大丈夫、自分で言える」



そう言ってみんなの方を向けば


決まって私の顔を覗くのは慎太郎



慎太郎「ほんとに?」



なんでこうゆう時だけそんなことするかな



「ほんとだよっ」



そう言って笑い返せば


ぐしゃぐしゃに頭を撫でられる



慎太郎「俺らもいるから、」



なんてニカッ、と笑う


そんな笑顔に何故か力が抜けた気がした



「あああぁー!怖いなぁ、」



後ろにゴロン、と寝転がり


そう叫ぶ



「怒ってるよね、翔太」

樹「多分な」

「死ぬなんて言ったらもっと怒るよね、」

北斗「ブチ切れだろうな」

「あー、、なんで私死ぬんだろう、」



そんなこと考え出したらキリがないけど


ついそんな言葉が漏れる


そんな私の上に急に飛び乗ってくるジェシー



「うわっ、なに!?!」



それから痛いぐらいに抱きしめられる



ジェシー「おめぇよ、空気感」



それから私の横にが転がる



ジェシー「もっと楽しい話しよ?な?」



横でそんなことを言うジェシーに


なんで私なんだろう、


なんて問いがまた頭をよぎる


私が死んでいいことなんて、


数えるぐらいしかないのに、











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