💗side
今、みんなで空港にいる
北斗のところに向かった
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みんなは俺より後に北斗のこと知ったし、ちゃんと見送りたいだろう
俺は昨日ちゃんと話せたからそれでいい
でもやっぱり話したかった
その気持ちを抑えるために北斗のことを見ないように下を向いていた
そう言って北斗は俺たちに背を向けた
これでいいんだよ…
そう言い聞かせてもやっぱり寂しかった
すると樹が、
そう言って小さな紙切れを見せてきた
樹は俺の手に紙切れを握らせて、俺にだけ聞こえる声で話しかけてきた
樹に背中を押されて、思いっきり北斗の背中に抱きついてそっと上着の右ポケットに紙切れを入れた
北斗が俺の方に振り向こうとしたから抱きしめる力を強めた
でも北斗は俺の顔を見たいと言った
目を閉じていいならきっと大丈夫だろう
素直に目を閉じると正面から北斗の温もりを感じる
なんだか安心する…
すると唇に柔らかい感触があった
チュッ
思わず目を開いてしまった
しっかり北斗の顔が見える
そんなことを言って俺から離れた
思わず変なことを口走ってた
そう言う北斗に今度は俺からキスをする
北斗が俺のことで頭がいっぱいになりますように…
なんて思いながら
樹のおかげでちゃんとお別れできる
樹に言われてなかったら今頃きっと後悔してた
北斗に右ポケットのことを伝え、北斗の背中が見えなくなるまで見送った
樹達のところに戻った
いくら離れていても心は繋がってるから
それに1人じゃない
みんながいるから俺は大丈夫
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!