第7話

手のぬくもり
81
2018/03/29 07:44
上村 八重
上村 八重
とうちゃーくっ☆
間宮 桃香
間宮 桃香
はしゃぎすぎぃ
森田 まゆ
森田 まゆ
いい天気だねー
今日は待ちに待ったキャンプ。
1泊2日で各班自由に過ごすことになっている。
森田 まゆ
森田 まゆ
とりあえず、テント建てなきゃ
田村 瑛人
田村 瑛人
僕も手伝います
間宮 桃香
間宮 桃香
彗、あんたも手伝いなさいよ
野々宮 彗
野々宮 彗
間宮 桃香
間宮 桃香
ちょっと、こんな時まで音楽聴いてんじゃないわよっ!!
野々宮 彗
野々宮 彗
…うるさ
間宮 桃香
間宮 桃香
なんか言った!?
森田 まゆ
森田 まゆ
ケンカしないのぉ〜
上村 八重
上村 八重
じゃあ、テントは男子に任せよっか!
あたしらはBBQの準備しよっ
八重ちゃんの指示で男子はテント、女子は野菜とお肉を切る作業をする。
間宮 桃香
間宮 桃香
なんか、あっちの方騒がしくない?
少し離れた場所から賑やかな声が聞こえる。
他の班の人もいるのか、大人数でワイワイしている。
その中の中心には礼央くんがいた。
森田 まゆ
森田 まゆ
礼央くんだ
間宮 桃香
間宮 桃香
人気者だねー
上村 八重
上村 八重
相沢 礼央…
森田 まゆ
森田 まゆ
八重ちゃん?
上村 八重
上村 八重
高校入学後5人に告白されたモテ男…!
間宮 桃香
間宮 桃香
マジで?そんなにモテんのあの人
上村 八重
上村 八重
ファンクラブまであるらしいよ。今だってほら…女子も混ざってるじゃん
八重ちゃんの言う通り、礼央くんのまわりには何人か女の子もいる。
サッカー部のエースもあって、礼央くんってなっぱり人気者なんだ…班決めも女の子に誘われたのかな?
野々宮 彗
野々宮 彗
おい、テント出来たぞ
森田 まゆ
森田 まゆ
わっ!結構大きいんだね
上村 八重
上村 八重
こっちも準備OKだよ!
間宮 桃香
間宮 桃香
はやく焼こうよ。お腹すいた
BBQ開始。
お肉が焼ける音、煙りの匂いがキャンプ場に広がる。
上村 八重
上村 八重
んん〜っ!美味しいぃ!!
間宮 桃香
間宮 桃香
彗、その肉も取って
野々宮 彗
野々宮 彗
は?自分でやれよ
間宮 桃香
間宮 桃香
優しくないわねぇ〜!あんたの方が近いでしょ?
上村 八重
上村 八重
2人ともなんでそんなに仲良くできないの!?
桃香と彗の言い合いを八重ちゃんがあたふたしながら間にはいる。
私はお肉を食べながら見守る。
瑛人くんも、もぐもぐしながら見ている。
森田 まゆ
森田 まゆ
あの2人、中学の時からあんな感じなんだ
田村 瑛人
田村 瑛人
仲が悪いんですか?
森田 まゆ
森田 まゆ
んー、お互い嫌いなわけじゃないと思うけど…すぐあんな風に言い合っちゃって
田村 瑛人
田村 瑛人
でも面白いです
2人の言い合いを見ながら笑う瑛人くん。
以前は少し固い感じだった瑛人くんも最近は表情がやわらかくなった気がする。
田村 瑛人
田村 瑛人
まゆさん、今、楽しいですか?
森田 まゆ
森田 まゆ
うん、すっごく楽しいよ!
瑛人くんも楽しんでる?
田村 瑛人
田村 瑛人
楽しんでますよ。…まゆさんが楽しんでいると、僕も楽しくなります
瑛人くんはたまにドキッとするようなことを言ってくる。少し照れちゃうけど、瑛人くんは思ったことを言っただけだからいつも涼しい顔をしている。
森田 まゆ
森田 まゆ
…ずるい
田村 瑛人
田村 瑛人
え?
森田 まゆ
森田 まゆ
ううん!何でもないっ
このドキドキは心に秘めておこう…。

















先生:「えー、毎年恒例の肝試しをします」
夜になって、先生に集められた。
どうやら毎年、夜になるとペアを組んで近くの神社までお参りに行くという肝試しをやっているらしい。


先生:「くじを引いて、同じ番号の人とペアを組むようにー」


生徒が並んで順番にくじを引いていく。
間宮 桃香
間宮 桃香
あたし13
上村 八重
上村 八重
3!
森田 まゆ
森田 まゆ
21だ
野々宮 彗
野々宮 彗
…32
田村 瑛人
田村 瑛人
46です
間宮 桃香
間宮 桃香
なんだ、みんなバラバラだね
森田 まゆ
森田 まゆ
じゃあ、戻ってきたら会おうね
私のペアは誰かな…?


先生:「じゃあ、番号呼ばれたら並んでいってくれー」


順番に番号が呼ばれていく。


先生:「21番ー!」
森田 まゆ
森田 まゆ
…礼央くん!?
相沢 礼央
相沢 礼央
あ!まゆちゃんだ
森田 まゆ
森田 まゆ
よかったぁ〜…知らない人だったらどうしようかと思ったよ
相沢 礼央
相沢 礼央
俺も!まゆちゃんとペアになれて嬉しいよ
まさか礼央くんとペアになると思わなかったなぁ…。でも、相手が知ってる人で良かった。










相沢 礼央
相沢 礼央
じゃ、行こっか
森田 まゆ
森田 まゆ
うん
私達の番になり、ライトをつけて神社に向かう。神社に行ってお参りをし、キャンプ場まで戻ってきたらゴール。
神社までの道は街灯がなく、真っ暗。
ライトだけが頼り。
森田 まゆ
森田 まゆ
…思ってたより暗いんだね
相沢 礼央
相沢 礼央
肝試しとか苦手?
森田 まゆ
森田 まゆ
お化けとかは苦手かも
<ガササッ>

「……ぅわぁぁあ!!!!!」

森田 まゆ
森田 まゆ
きゃぁあ!?
急に出てきたお化け役らしき人が大声で叫ぶ。
森田 まゆ
森田 まゆ
び、びっくりしたぁ…
相沢 礼央
相沢 礼央
あはははっ!
森田 まゆ
森田 まゆ
恥ずかしいから笑わないでよ…
相沢 礼央
相沢 礼央
ごめんごめん…じゃあ、はい
礼央くんが手をさしだす。
相沢 礼央
相沢 礼央
手、つなご
森田 まゆ
森田 まゆ
えっ、大丈夫だよ!
相沢 礼央
相沢 礼央
俺がつなぎたいのー
森田 まゆ
森田 まゆ
…!
相沢 礼央
相沢 礼央
いや?
森田 まゆ
森田 まゆ
………じゃあ、失礼します
そっと手を握る。
相沢 礼央
相沢 礼央
もうすぐ着くと思うから、怖かったら言って
森田 まゆ
森田 まゆ
うん
礼央くんが前を進む。
私の手をしっかり握って。
手、大きい…男の子ってみんな大きいのかな。
なんか…ドキドキする。
森田 まゆ
森田 まゆ
…あ、ここ?
鳥居が見える。
あとはお参りをして戻るだけだ。
相沢 礼央
相沢 礼央
何をお願いする?
森田 まゆ
森田 まゆ
うーん…毎日楽しく過ごせますように!
相沢 礼央
相沢 礼央
まゆちゃんらしいね
森田 まゆ
森田 まゆ
礼央くんは?
相沢 礼央
相沢 礼央
んー、好きな子が振り向いてくれますように
森田 まゆ
森田 まゆ
それって…
相沢 礼央
相沢 礼央
…まゆちゃんのこと
ザァッと風が吹く。
相沢 礼央
相沢 礼央
なんか風吹いてきたし、戻ろっか
森田 まゆ
森田 まゆ
う、うん
帰りは無言だった。
というより、礼央くんの顔を見れなかった。
あんなにまっすぐな気持ちを言われたら、誰だってドキドキする。
今だって、まだドキドキしてる。
相沢 礼央
相沢 礼央
まゆちゃん
森田 まゆ
森田 まゆ
はいっ!
変な返事をしてしまった…。
相沢 礼央
相沢 礼央
着くまで…手、繋いでていい?
森田 まゆ
森田 まゆ
…うん、いいよ
なぜか、断らなかった。
こんなにドキドキしてるのに。
ただ、礼央くんの手は大きくてあったかくて…なんだか落ち着く。
このまま繋いでいたい…って、少し思ってしまった。

キャンプ場に戻るまで、私のドキドキは止まらなかった。

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